knitting yarn-1【アメリー】③ デザイナーズコラボキット「グラニースクエアで作るヨークセーター」デザイナー112 藤本奈々子さんインタビュー

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「1月から12月まで年中編み物を楽しむ」をコンセプトに活動するデザイナー、112 藤本奈々子さん(以下、藤本さん)。かぎ針編みを中心に多彩な作品を生み出し、季節や年代を問わず身に着けられるファッション性とデザイン性の高い作品を制作しています。カラフルで遊び心のある色使いを特徴とし、雑誌や書籍への作品提供をはじめ、自身のホームページや各種ウェブサイトでも作品を発表するなど今注目を集める作家の一人です。藤本さんにとって企業とのコラボ商品は今回が初めて。2024年9月中旬に顔合わせを兼ねた打ち合わせを行い、プロジェクトがスタートしました。
「今まで書籍や雑誌に作品を掲載していただいたことはありましたが、オリジナルキットを作るのは今回が初めてでした。しかもセーター! お声掛けいただいた時は驚きましたが、とてもありがたいお話しでしたのでお受けさせていただきました」




普段はかぎ針を使うことが多い藤本さんですが、今回のコラボキットでは、かぎ針と棒針を組み合わせたデザインを考えました。
「普段はかぎ針で作品を作ることがほとんどです。今回は、自分にとって親しみのある“アメリーを使ったキット”という依頼をいただいた時点で、かぎ針よりも棒針の方が、より糸のやわらかさや風合いが出ると考え、棒針を取り入れることにしました。とはいえ、実際に棒針だけで作品を作るとなると、自分の中で少し苦手な部分もあったので、かぎ針から編み始めて棒針で終わる作品にしようと考えました」

かぎ針「モチーフ編み」×棒針「メリヤス編み」のシンプルな組み合わせ
このセーターの一番の特徴は、首下から胸周りに広がるかぎ針で編むモチーフ編み。赤×青をベースにしたモチーフをつなげることで肩のラインが自然と仕上がるため、編みながら肩の部分を作ったり、袖を別で編んでつなげる工程を省くことができます。
「肩を作ったり、袖をつなげたりする作業って結構大変だと思うんです。それらをしなくてよいのはこのセーターの特徴の一つだと思います。また、一般的なセーターは衿ぐりの深さが前後で異なり、前と後ろで編み方が違うことが多いのですが、このセーターは前も後ろも同じデザインなので前後を気にせず編むことができるんです。どちら側を前にしてもよいので、前後を反対に着ても問題ありません。急いでいる時や暗いところなどでもさらっと着られて便利ですよ」
検討を重ねたデザインと配色
藤本さんは、編み物の作品を制作する際は、最初にデザインを考えてから作り始めるといいます。今回のキットも、最初にデザイン案をかためるところからスタートしました。
「デッサン…というほどでもないんですけど、お仕事で依頼があった時は、具体的にどれぐらいのサイズで、どんなシルエットになるか、というだいたいの形を線で書いたラフスケッチを最初に見てもらっています。絵はそんなに上手ではないのでイメージの範囲になるのですが。以下は、ハマナカさんに提出した時のラフスケッチと配色のバリエーション案です。

これより前に送ったラフスケッチのような何種類かのデザイン案の中から一つを選んていただき、モチーフ編みが広がっていくイメージにしましょう、などのやり取りを行った後、デザイン画として送りしました。さらにこの後、実際に使う毛糸でスワッチ(試し編み)を作り、ゲージを測ってデッサン上の長さに合うよう計算をして本体を編み始める、という流れで進んでいきました」

今回のキットは、最初に“王道の女の子をイメージした配色を目指す”という大枠の方針があり、白色をベースにしたセーターにすることがなんとなく決まっていたのだとか。藤本さんが以前自分用に編んだセーターをベースに、その作品をさらに編みやすくすることを意識してデザインし直し、異なる配色をいくつか提案した結果、最終的に現在の色の組み合わせが採用されたといいます。
「デザインや配色の色合わせも、ハマナカの企画担当の方がいろいろ提案してくださいました。白ベースに模様が入っているデザインがいいですよね。お気に入りです」と藤本さん。


モチーフ編みのほか、「ボリュームがある袖が好き」という藤本さんこだわりの、手首にかけてふっくらとした袖周りもこのセーターを象徴する特徴です。手首を一周する2色のアクセント部分はかぎ針で編んで仕上げました。
「セーターを編むのはハードルが高く感じるかもしれませんが、このセーターは初心者の方が挑戦するのにとてもいいと思っています。このセーターはかぎ針編みのモチーフをつなげている部分が多いので、一つのモチーフを完成させながら編み進めることで小さな達成感を感じながら完成に近づいていけるんです。ちょっと魅力的ですよね。棒針編みの部分も、編み方の基本となるメリヤス編みしか使っていないので、セーターを初めて編む人や、初心者の方にもおすすめしたいですね」




作家活動をするにあたり、藤本さんは現在国内外の糸を幅広く使っています。昔はハマナカ フェアレディー50という糸を使っていましたが、次々と色数が減っていき、ついに廃番になりました。癖のないストレートの手編み糸でとても気に入っていただけに、とても残念だったといいます。その後、ハマナカ フェアレディー50の代替糸として、ハマナカ わんぱくデニスを使ったことも。この糸もすごく好きだったのですが、ハマナカ フェアレディー50よりも少し太かったので、さらに糸探しを続けることに。他メーカーも含めて代替糸を探していた時、ついにハマナカ アメリーと出会いました。
編みやすさと優れた弾力性を備えたアメリーとの出会い
ハマナカ アメリーとハマナカ フェアレディー50は、同じ並太ですが太さが若干違うのと、原料のウールも異なります。ハマナカ アメリーが使用しているのは、ニュージーランドの牧羊家が育てた上質なメリノウール。そこにアクリルをブレンドすることで、ハマナカ フェアレディー50よりも優れた弾力性と柔軟性を備える糸として誕生しました。初心者の方にも編みやすく、きれいに目が整いながら編み上がるのが特徴です。
「自分の作品にぴったりの太さと編みやすさだったんです。私はグラニースクエアのモチーフを編むのが好きなので、並太のアメリ―がとにかく編みやすくて、編みたいぞ、どんどん編めるぞという気持ちがわいてきます。グラニースクエアのモチーフを編む時はアメリーを使う、と決めているくらいに気に入っています」

アメリーは色数が豊富なため、グラニースクエアのモチーフの配色を考える際の選択肢が多いのも魅力です。作品の印象は、アクセントになる色の隣にどの色を配置するかによって大きく変わり、わずかな色味の違いでも見え方が変化します。例えば同じグレーでも、少し明るいか濃いか、あるいは赤色っぽいか青みがかっているかによって、完成した作品のイメージは大きく異なります。色数やグラデーションの選択肢が豊富なアメリーは、そうした微妙な差異を選びながら配色を組み立てる楽しさがあり、このような糸は他になかなかないのだとか。
「もう一つ、アメリーの好きなところがあるんです。編み物をしていると、目を間違えたり編み方を変えたくなったりして、編んだ部分をほどくことがあります。ほどいた糸はインスタント麺のようにくねくねになってしまい、そのままでは編みにくいため、元の状態に近づける作業が必要なのですが、アメリーはこの作業がとても楽で、しかも気持ちがいいんです。スチームアイロンをあてるだけで、チリチリだった糸がふわっと膨らみながら元の状態に近いところまで戻ってくれます。横から見ていると、縮れた麺がストレート麺になっていくような躍動感があり、その変化を眺めるのも楽しいんです。こうした戻りのよさは、他の糸ではなかなか感じられません。編み間違えても気負わず修正できるので、失敗を恐れず編み進められるのも大きな魅力だと思います。このような扱いやすさも含めて率先して使いたいと思う糸になっています」

編み間違いをして糸をほどいたあと、くねくねとした糸を使い続けるのが嫌で、切ったり捨てたりしてしまう人もいるそう。その点、アメリーはスチームアイロンをあてるだけで、ほどいた糸が比較的元の状態に近い形まで戻るので、気持ちを切り替えての仕切り直しがしやすく、編み直しの際もテンションを下げることなく作業を続けられます。配色の楽しさや扱いやすさだけでなく、こうした編み手の気持ちに寄り添ってくれるところも、アメリーを気に入っている理由の一つなのだそう。
最後にキットのセーターに合わせるおすすめの着こなしを聞いてみました。
「例えば、セーターの下に配色と同じ色のコットンのハイネックを入れてみると、襟がついたように見えていいかもしれません。ワンピースの上に着てもいいと思いますよ」


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PROFILE
INFORMATION

グラニースクエアで作るヨークセーター
かぎ針で編んだヨークを中心にデザインしたセーターのキット。ヨークの華やかさはもちろん、ボリュームのある袖口とゆったりとしたサイズ感、かわいい色使いが特徴。かぎ針と棒針、両方が堪能できるデザイン。
●キット内容:ハマナカ アメリー、レシピ、メッセージカード
●サイズ:身幅約54cm、着丈約56cm、ゆき丈約72cm
●デザイン:112 藤本奈々子
●品番:H320-003-089
【必要な道具】
かぎ針5/0号、輪針(100cm)6号・輪針(40cm)6号、短5本針5号
※道具はキットに入っていません
