knitting yarn-1【アメリー】②アメリーができるまで-2 カーディングから出荷まで

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3 羊毛をほぐす「カーディング」
ニュージーランドからマレーシアに運ばれたスカードウール。この時点では、染色などの加工もされていない、毛の色や風合いそのままの状態です。
工場に到着したスカードウールは、最初に「カーディング」という工程に進みます。カーディングとは、ざっくりいうと羊毛をほぐす作業のこと。スカードウールを針のある大きなローラーに通してセットし、機械でローラーを回転させながら羊毛の繊維をほぐして薄い毛の膜をロープ状に束ねていきます。
カーディングの工程を経て柔らかくほぐれた羊毛は、毛の中に残っているほこりや汚れなどの不純物が取り除かれ、繊維が平行に並びふんわりと空気を含んだ均一なわたのような状態に。束ねられたロープ状の羊毛を「スライバー」と呼びます。

4 羊毛をそろえる「コーミング」
カーディングが終わった羊毛は、太い糸がぐるぐると巻いてある巨大な毛糸のような姿に。この大きな毛のまとまりからロープ状のスライバーを引き出し、6~10本を1本の束にしてまとめ、引き伸ばしながらくしで梳(と)かして細い束にしていきます。この作業を「コーミング」といいます。
梳かす作業を何度も繰り返して行うことで、繊維の太さが均一に整い、糸のムラが減って手触りの良いなめらかな質感になります。さらに、細かいくしの歯でも梳かすことで、取り切れていなかった不純物や小さな毛のかたまりなども除くことができ、より繊細で上質な美しい羊毛になります。コーミングを終えた羊毛は「ウールトップ」と呼ばれる、糸を作る工程前の、原毛と毛糸の中間の状態になります。
この工場の作業はここまで。ウールトップは京都の染色工場へ運ばれます。
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5 ウールトップを染める「トップ染め」
京都の染色工場に運ばれたウールトップ。ここには、ほかにもアクリルが運ばれてきます。
この工場では「トップ染め」を行います。トップ染めとは、羊毛やアクリルといった糸になる前の繊維や原料の状態で染める工程のこと。トップ染めは糸へのダメージが少なく、毛の質感や風合いを保つという特徴があり、さらに繊維の芯部分まで染まるため、色落ちが少なく色味が長続きする利点もあります。染まり方にムラが出ず、均一に染まるのもよいところ。ちなみに、トップ染めに対して紡いだ糸の状態で染めることを「糸染め」と呼びます。
一定の太さに調整した、繊細なウールトップのスラバーの束を専用のキャリアーにセットし、染料を調合して染色→脱水→乾燥の工程へ。時間をかけてしっかりと染め上げていきます。
ちなみにアメリーはトップ染めした数種類の色を組み合わせて、細かなニュアンスの色味を生み出しています。組み合わせる色は最大5色だそう。一緒に運ばれたアクリルも、同様にトップ染めを行います。
染色が完了した羊毛とアクリルは、宮崎県の新富工場へ運ばれます。
6 糸紡ぎの工程
前紡(ぜんぼう)
糸紡ぎは、染め上がったウールとアクリルをブレンドし、ゆっくりと伸ばしながら繊維の方向を揃えて均一にすることから始まります。この工程は「前紡」といい、糸を紡ぐ前の準備工程としてとても重要な作業です。前紡を繰り返し行うことでできた糸を「粗糸(そし)」と呼びます。

精紡(せいぼう)
小指ほどの太さの粗糸をさらに引き伸ばし、毛糸を構成する1本の糸の状態「単糸」にします。最終的な太さや風合い、柔らかさ、強さ、柔軟さになるよう調整し、適切な太さになるよう撚りをかけながら引き伸ばしていきます。この工程を「精紡」といいます。
合糸(ごうし)・撚糸(ねんし)
精紡を終えた単糸を複数本合わせ(「合糸」という工程)、1本の糸に引き揃えて撚りをかけて(「撚糸」という工程)束ねます。複数本の糸を組み合わせて撚りをかけることで、単糸にはない強度が得られ、撚りのかけ具合や組み合わせ次第で柔らかさや太さ、見た目などが安定するといった効果があります。


7 玉巻きをして出荷!
糸紡ぎを終えた糸は、滋賀県にある工場へ運ばれ、糸にスチームで熱を加える「バルキー加工」の工程へ進みます。バルキー加工とは、2種類以上の異なる性質を持つ繊維(アメリーは羊毛とアクリル)を組み合わせた糸に熱処理を施すこと。熱によって収縮するアクリルを使用しているため、繊維が縮んで羊毛が浮き上がり、ボリュームが出てふっくらとした柔らかさが生まれ、軽いのにボリュームが出るのです。

最後に玉巻きをして、ラベルを巻いたらでき上がり。完成したアメリーは、一玉ずつていねいに検品を行い全国へ出荷されます。
ニュージーランドで育った羊たちの毛が、国内外のさまざまな場所で加工され、小売店を経て私たちの手元に届く、長い時間をかけてたどり着いたんだなあと考えると一つの糸によりいっそう愛着がわいてきそうです。作品のインスピレーションにもつながりそうですね。
