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ときめきぬいぐるみクリエイターJUNK FOOD OPERA ハタヤエリさんインタビュー vol.1 巷で噂のクオッカちゃんって?

クオッカちゃん”をSNSや街中で見たことがある人は多いかもしれません。大人気キャラクター・クオッカちゃんの生みの親、JUNK FOOD OPERA(ジャンクフードオペラ)のハタヤエリさんのアトリエにお邪魔しました。
photo: Taku Kato(QTV), interview & text: Hinako Ishioka

JUNK FOOD OPERAハタヤエリさんは、ときめきぬいぐるみクリエイター。“ぬいぐるみ作家”の枠を超えて、オリジナルキャラクターのクオッカちゃんをはじめとする独自のキャラクター展開や、イラスト、グラフィックデザインの仕事にも取り組みます。ときめきぬいぐるみクリエイターという肩書きは、僧侶で作家の“煩悩クリエイター”稲田ズイキさんの肩書きにある「クリエイター」からつけたそう。「ときめきっていうとかわいいし、カタカナがついているとかっこいいので」とニコニコしながらさっぱりと話します。大人気のクオッカちゃん、エビ天ちゃん、埋没林(まいぼつりん)ちゃん、シマエナガちゃんなど、“どこか気の抜けたときめき”を感じる、ポップでキュートなぬいぐるみをつくっています。

ハタヤさんは横浜にある美術系短大のグラフィックデザイン科を卒業後、会社勤めや中学校の美術講師、スリッパメーカーのデザイナーを経て、現在に至る異色の経歴の持ち主。
2019年頃、オーストラリアのロットネスト島に生息するクオッカワラビーにはまっていて、「存在そのものが尊い。こんな生き物がいるんだ」と驚き、会いたい気持ちをイラストに描いていたそう。すると突然、「オーストラリアまで行かないと会えないのなら、自分でつくればいいのでは?と思いついてしまって」。クオッカワラビーのぬいぐるみ「クオッカちゃん」の制作が始まりました。

「初めてクオッカちゃんをつくった時、伸びしろを感じたんです。もっと上手につくれるんじゃないかなって。初めは趣味の範囲で制作過程をSNSにアップしていました。それを見て欲しいって言ってくれる人がけっこう出てきたんです」。
つくり始めて3か月後、作家としてはかなり早い段階でイベント出店の声がかかります。大阪・天王寺、昭和町のクリエイターが集まるイベントで、クオッカちゃん約20体を準備して展示販売してみると、たちまち完売。クオッカちゃんのパワーを感じずにはいられない瞬間でした。

神奈川県生まれのハタヤさんは、大阪のインディーズバンドが大好きで20代前半に大阪に移住。中学の頃にロック音楽に目覚めて以来、「THE HIGH LOWS」にハマり、人生の目標だそうです。「人生の方向性をヒロトに教えてもらいました。好きなことをして生きることとか、ヒロトのリスペクトをもって人と接する姿勢も好きです」と語ります。ヒロトの思想を受けて「オリジナリティのある人生にしよう」と単身で大阪へ向かいました。

大阪へ出てきてからは、大学で学んだグラフィックデザインのスキルを生かし、知り合いのバンドのCDジャケットやフライヤーのイラストを描いたり、デザインを手伝ったり、「JUNK FOOD OPERA」として創作活動をずっと続けていました。屋号は、以前ハタヤさんが描いていた漫画のタイトルから。芸人やラジオ文化も好きで、「何事も“おもしろ”を中心に考えている」といいます。たしかにその手で繰り広げられるクオッカちゃんたちの世界は、ヒロトの生き様のように人にやさしく、ほのぼの系漫画や芸人のコントのようにクスっと笑える雰囲気があります。

ご自身で屋号をデザイン。

JUNK FOOD OPERAはTwitterの投稿から人気に火がつきました。ある日「エビ天ちゃん」をお皿の上に置いたツイートがバズり、1万、2万と、どんどん“いいね”が積み上がりました。ハタヤさんのSNSの投稿は、アイデアに溢れていて、クスっと笑えてホッとする世界観があります。「決して適当にやっているわけではなくて、真面目すぎたり品が良すぎるのはあんまり肌に合わないんです」。絶対的な「かわいい」という概念を持ち合わせながら、ハタヤさんがつくるユーモアあふれる世界観の中でいきいきしているぬいぐるみたちは、人々の心をつかんで離しません。

エビ天ちゃんはお惣菜のように、パックに入れて販売されている。photo:ハタヤさん

クオッカちゃんの魅力についてはこう語ります。「クオッカワラビーという動物のことを知らなかった人もけっこういたので、クオッカワラビーだったからみんなの注目を浴びたというわけでもなさそうなんです。クオッカちゃんに出会って、その存在をかわいいと思ってくれている。主役というよりは脇役だけど、肩に乗っていそうな、親切そうな顔をしていて、困った時に助けてくれそうな感じがしますよね」。

作業台の上で撮影されてちょっとおすまし顔のクオッカちゃん。

SNSの発信に加えて、デザインフェスタや自主制作漫画誌展示即売会(通称:コミティア)などの日本最大級のクリエイターのイベントに出店を重ね、ファンが右肩上がりに増えていきました。現在手縫い版のクオッカちゃんの抽選販売を行うと、その倍率はなんと約100倍。ハタヤさんはぬいぐるみ作家にはとどまらない、ときめきぬいぐるみクリエイターなのです。

太陽光がさんさんと入ってくる窓際にミシン台が置かれる。

JUNK FOOD OPERA ハタヤエリさんインタビュー vol.2につづく

PROFILE

JUNK FOOD OPERA ハタヤエリ

横浜美術短期大学グラフィックデザイン科卒。
ときめきぬいぐるみクリエイター/キャラクターデザイナー/イラストレーター/その他毎日の暮らしにわくわくとときめきをプラスする、可愛いものづくりの活動をしています。

HP: https://www.junkfoodopera.com

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