【アメリカ】クイルワーク
photo: Kimiko Kaburaki, text: Junko Yazaki
17世紀にイギリスからの開拓民が多く移り住んだアメリカ・ニューイングランド地方で始まったアメリカンクルーエル刺繍。その後、18世紀に最も花開いたと言われている。
当時のアメリカで入手しやすかった毛糸と麻布を使った刺繍は、経済的に不安定で裕福ではなかった移民たちに好まれた。
当初はアメリカに野生の藍が豊富だったこともあり、多くの家庭で勝手口の外に染色用の桶を設け、毛糸を3つのグラデーションに染めあげて、その3色で清々しい色合いの刺繍を作りあげていた。その後、ネイティブアメリカンの知識も参考にしながら、植物や昆虫から採ったさまざまな自然染料で毛糸を染め、カラフルで優しい色合いの刺繍へと変化を遂げる。
出典:『世界のかわいい刺繡』誠文堂新光社 刊