【ハンガリー】カロタセグ地方のイーラーショシュ
photo: Ayako Hachisu, text: Yoko Kaji
ルーマニア北西部に位置するトランシルヴァニアは、かつてハンガリーだった地域。この地方に古くから伝わるイーラーショシュは生地を埋めるように刺して柄を表現するのが特徴で、太い線で模様を描いたものをナージュイーラーショシュ、細い線で模様を描いたものをキシュイーラーショシュという。
ナージュイーラーショシュはカロタセグを代表する刺繍で、太めの単色のコットン糸を使い、オープンチェーンステッチで刺すのが主だが、写真のようにボタンホールステッチが使われることもある。嫁入り道具として枕カバーやベッドシーツなどに施されるほか、教会の室内装飾としても用いられている。
出典:『ヨーロッパのかわいい刺繡』誠文堂新光社 刊