ミグラテールについて

人が、ものごとの価値が、考えが、行き交う現代。

わたしたち「Migrateur ミグラテール」は、
手芸や手仕事の世界を自分の足で渡り歩き、
五感をはたらかせながら、現場の声に耳を傾けながら、
俯瞰の視点で手芸と手仕事の世界を捉えます。

時代、大陸、国境、民族、地域、
ジェンダー、業界、分野、企業、コミュニティ、
あらゆる垣根や境界線を見つめながら越えていきたい。
そして、今の声を繋げていきたい。

ミグラテールはひとつの正しさを求めるのではなく、
多様な人、現象、ものごとが楽しく混ざり合う場所でありたい。

渡り鳥のように、旅をしながら、
渡り鳥のように、仲間を増やしながら、
手芸と手仕事の今を探し、伝えます。

「Migrateur」は、フランス語で“渡り鳥”を意味します。世界中を飛び交う渡り鳥たち。群れをなして大陸を、海を越えていく。その逞しく越境する行動力、視界の広さ、さらに困難を受け入れる柔軟さといったイメージになぞらえ、手芸や手仕事に関わるそれぞれの世界の境界線を越えていきたい…という想いが、この名前を付けた理由です。

その作品はどのような想いで作られたのか。その作品の伝統模様が持つ意味は何か。なぜその技法が用いられているのか。作品の持つ魅力には、単に“つくる”という行為だけではなく、その作品に込められた“背景”や完成にたどり着くまでの“過程”という魅力もあります。「Migrateur」は、断然そこに注目したい。

昨今の情報過多社会のなか、本当に必要な情報を見つけ出すことが難しい時代になりました。「Migrateur」では、商品を実際に使ったり作ってみたり、またできるだけ自分の足で取材を行い、直接見聞きしたリアルな情報を大切にしたいと考えています。さらに世の中にあふれる情報も、全体を“俯瞰”したり、並べて“比較”してみることで、それらの位置づけや違いなどを明らかにし、より実践で使いやすい情報に変えていきます。

これが手芸である…という既成概念にとらわれず、手芸の多様性を考え、潜在的に持つ価値や魅力を見つけ出すことにも注力します。近い将来、手芸そのものの魅力が変わっていく可能性はゼロではありません。そのためには、業界で当たり前と思われていることにもあえて疑問を投げかけていく、なぜそうなのか？と、もっとフレキシブルに対応し、楽しんでいく気持ちも大切だと考えています。

「Migrateur」は、毎日の暮らしの中に新しい気付きを与えてくれる、予期せぬ幸運に偶然出会える、そんな“セレンディピティ”な存在を目指します。
世の中には、まだまだわたしたちの知らない楽しいことがきっとあるはず。刺激的な出会いの場として、“つくる”楽しさから、新たな境界線のその先へつなげていきます。ご期待ください。

編集長　中村智樹