【インド】ラクノウ地方のチカン刺繍
photo: Ayako Hachisu, text: Yoko Kaji
ムガール帝国時代に栄えた北インドの古都・ラクノウに古くから伝わる刺繍で、その技術は400年以上もの長きに渡って受け継がれてきた。木綿の白い布に白糸で刺すホワイトワークの1種で、チカン(Chikan)とは「上質な綿に刺繍された」という意味。クルタと呼ばれるインドの伝統服や、パンジャビースーツの胸元や袖まわりにあしらわれることでも知られている。布の裏から刺繍をして布にふくらみを持たせ、模様を浮き上がらせるシャドーステッチや、ドロンワークのようなかがりのテクニックをいくつも駆使することで、独特の模様と風合いを生み出している。
出典:『アジアのかわいい刺繡』誠文堂新光社 刊