【フィリピン】カラド刺繍
photo: Ayako Hachisu, text: Yoko Kaji
カラドはフィリピンに伝わるドロンワークの1種。布の経(たて)糸と緯(よこ)糸を部分的に抜き取り、残った糸をかがったり束ねたりすることで、レースのような透かし模様を表現している。大変な手間と時間がかかる、忍耐と高度な技術を要する技法だ。
フィリピン男性の正装とされる「バロン・タガログ」やハンカチなどに多く見られ、そのほとんどがパイナップルの繊維で織られた「ピーニャ」や、ローシルクの「フーシ」で作られる。もともとは天然繊維であるピーニャを補強するための技法だったが、今ではフィリピンを代表する手工芸品の1つとなっている。
出典:『アジアのかわいい刺繡』誠文堂新光社 刊