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歴史と伝統を継承し、進化を続ける「リトアニア」という国

2023年10月、ミグラテール編集部は9日間ほどリトアニアへ行ってきました。現地で実際に感じたことは「自然と共に、つくって生活することのすばらしさ」。忙しい社会を生きる日本人にとっては忘れかけた豊かな生活のヒントがそこにあるような気がします。
top photo: Yayoi Arimoto, other photos & text: Migrateur editor team
photo by Yayoi Arimoto

国土の98%を農地と森林が占め湖が点在する
豊かな自然に囲まれた「森と湖の国」

リトアニアは、ヨーロッパの北東部に位置するバルト三国の最南の国です。西端はバルト海に面し、北にラトビア、南にポーランド、東にベラルーシが接しています。人口は282万人。面積は65,300㎢で、北海道の8割ほどの大きさです。
リトアニアは「森と水の国」といわれていて、国土の三分の一以上を森林が占め、国内には大小合わせて3000もの湖が点在している、自然豊かで穏やかな国として知られています。

リトアニアの都市

ヴィリニュス ①クライベダ ②ネリンガ ③ドルスキニンカイ ④シャウレイ ⑤カウナス ⑥ケルナヴェ ⑦トラカイ

古い昔から、リトアニアの人々はヨーロッパ諸国の領土争いや、ソ連による占領など激動の時代を生き抜いてきました。
1989年8月23日には、バルト三国で知られるエストニア、ラトビア、そしてリトアニアのそれぞれの首都から首都を約200万人の市民が手を繋いで「人間の鎖」をつくり、約600kmの距離を結んでソ連に独立を訴えました。その後1991年にはソ連から、共和国として完全に独立し、非暴力による独立を果たした歴史があります。
長い歴史を経て自由を獲得した国民は、自国のアイデンティティを誇りに思い、独自の文化を大切に継承しています。

ヴィリニュスの中央に位置する小高い丘。上に見えるのはかつてゲディミナス城の城壁の一部が残った「ゲディミナス塔」。徒歩もしくはケーブルカーで登れ、丘の上からはヴィリニュス市内が一望できる。
ヴィリニュスの市内にある「ベルナルディン教会」左側の赤い屋根は「聖アンナ教会」。

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首都のヴィリニュスの旧市街は、広さ約3.6㎢に及ぶ歴史地区。欧州でも最大規模の旧市街、「ヴィリニュス歴史地区」として1994年にユネスコの世界遺産に登録されました。そこはバロック様式からゴシック、ルネサンス様式まで、さまざまな建築物が残されているユニークな都市です。

ヴィリニュス旧市街から少し離れた(徒歩15分ほどの)場所に建つ「聖ペテロ&パウロ教会」。ロシアからの解放を記念して1668年頃から建設が始まった。

また、リトアニア北部シャウレイ近郊には、無数の十字架が立ち並ぶ「十字架の丘」(無形文化遺産2001年登録)があったり、最西端のネリンガには100kmにわたるクルシュ砂丘(ユネスコ世界遺産)があるなど、郊外にも訪れたい場所がたくさんあります。

シャウレイ近郊にある「十字架の丘」。無数の十字架が丘を埋める。

日々の生活の中に息づく「つくること」を大切に守る

リトアニアにはさまざまな手仕事が日常に残されていることでも知られています。
かご編みや、木彫りのカトラリー、ウールのミトンやリネン製品など、自然由来の手仕事の品々が、現在も人々の手によってつくられています。

ものづくりだけでなく、伝統的なサウナ「ピルティス」や、森や庭から摘んできたハーブでつくるハーブティー、土地に根付いたライ麦でつくられた黒パン、餃子のような形の伝統料理「キビナイ」などにみられる食文化も、豊かな時間と健康な心身を「自らつくる」リトアニアの人々の生活に繋がっています。

今回の特集「自然と共に。リトアニアの暮らしと手仕事」では、編集部の一員が現地で身をもって感じてきた、リトアニアの豊かな自然との暮らしをみなさまにお届けしていきます。
私たちが生活する日本にも、一歩街を離れてみると美しい自然がたくさんありますよね。私たちも、リトアニアの人たちのように、身の回りの自然と共に、何かを「つくって暮らす」生活を再発見してみるのもいいかもしれません。

機会がある人は、ぜひリトアニアにも足を運んでみてください。
読んでくれて…Aciu アチュ!(リトアニア語で、ありがとう!)

食の宝庫でもあるリトアニア。こちらは伝統料理の「ツェペリナイ」。すりおろしたじゃがいもを絞って水分を出し、少しおいて下に溜まったでんぷんだけを取り出し、すりおろしたじゃがいもに混ぜ、さらに茹でてマッシュしたじゃがいもを加えてよく混ぜる。たまねぎや肉などの具を中に入れて大きな楕円形(飛行船の形)に整え、たっぷりの湯で茹でたら完成。サワークリームをつけながらいただく。歯切れのよいプルプルのお餅のような初めての食感は衝撃。
こちらも古くから食べられている伝統食「シャルティ・バルシチェイ」。ケフィア(ヨーグルトのような発酵乳)をベースとしたディルや刻んだキュウリなどが入った冷たいスープで、鮮やかなピンクはビーツの色から。料理名は「冷たいボルシチ」という意味があるそう。

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LOT ポーランド航空

日本からリトアニアへのアクセスは、LOT ポーランド航空の成田国際空港発、ポーランドのワルシャワ・ショパン空港経由、ヴィリニュス国際空港着の便が便利です。
https://www.lot.com/jp/en

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