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リトアニア大使館のクリスティーナさんに聞いた民族衣装のこと

手仕事大好き、リトアニア大使館の参事官・クリスティーナさんから民族衣装の記事が届きました。ここ10年で、リトアニアでは若者が故郷のアイデンティティを再認識しようと、自前の民族衣装を揃える人が増えてきているのだとか…。
text: Kristina Salte, photo: the Embassy by Lithuanian National Culture Centre, photo & translation: Hinako Ishioka

リトアニアの民族衣装は国の誇りです。
昔々、リトアニアの農民はヨーロッパで最も豊かな服装をしていたといわれています。それには高品質な亜麻(リネン)がとても重要でした。さらに「手仕事」という点において、リトアニアの多くの女性が有名な織り手になりたいという野心を持っていました。
なぜなら、18世紀後半から19世紀にかけて、衣装は家庭で布地を織り、縫製するものだったのです。当時、農村では工場で織物を製造することは比較的珍しかったのだそう。そんな中女性たちは、絹や羊毛でできたスカーフやショール、絹で模様が織り込まれたリボン、ビーズのネックレス、さらにベルベット、模様織、ダマスク織、カシミアなどでできたベスト用の布地を購入し、自ら衣装を準備しました。
リトアニアの女性たちは、衣装の着こなしだけでなく、手仕事の能力や美的感覚、色の調和などで個性を表現しようとしたのです。

5つの地域に伝わる特徴

リトアニアの民族衣装は、国内の民族誌上の5つの地域ごとに微妙に異なり、それぞれに固有の特徴が見られます。

1. アウクシュタイティヤ(Aukštaitija)

 ©the Embassy by Lithuanian National Culture Centre
©the Embassy by Lithuanian National Culture Centre
©the Embassy by Lithuanian National Culture Centre

アウクシュタイティヤの衣装は白地を大きく使用することが特徴です。古くからの伝統的な女性はヘッドスカーフに、白いベールをかぶっていました。

2. ジェマイティヤ(Zemaitija)

©the Embassy by Lithuanian National Culture Centre

ジェマイティヤの女性の衣装は、豊かな色の組み合わせと、たくさんの種類のスカーフがあることで有名です。最も古いものでは「横縞」が特徴的で、18世紀から19世紀前半に着用されていました。

3. ズーキヤ(Dzukija)

©the Embassy by Lithuanian National Culture Centre

ズーキヤの女性の衣装には、他の文化地域よりも多様な模様がありました。

4. スヴァルキヤ(Suvalkija)

©the Embassy by Lithuanian National Culture Centre

スヴァルキヤの女性はカラフルなタックの入ったエプロンを着用し、さらにシャツの袖には白糸で透かし模様の豊かな刺繍が施されていました。

5. 小リトアニア(Lithuania minor)

©the Embassy by Lithuanian National Culture Centre
©the Embassy by Lithuanian National Culture Centre

小リトアニアの女性の服装は、色とりどりの刺繍、複数の模様が巧みに施されたサッシュベルト、そしてデルモナス(Delmonas)という小さなバッグを腰に巻くことが他にない一番の特徴です。

2023年12月3日に代官山ヒルサイドフォーラムで開かれた「リトアニアのひととき」にて、自前の民族衣装に身を包むクリスティーナさん。

共通する特徴

前述したように民族衣装の特徴は5つの地域によって異なりますが、基本的な部分はすべての地域に共通しています。女性はスカート2枚以上、長袖シャツ、エプロン、ベスト、靴を身に着けます。そしてさらに追加するアクセサリーには、サッシュベルト、スカーフ、肩掛け、ビーズ、ナプキン、ヘッドドレスが含まれていました。男性はブーツとサッシュを備えたライダースタイルの衣装を着用していました。
結婚している女性や中高年の女性は、さまざまな種類のかぎ針編みの帽子や織物のベールをかぶり、若い未婚の女性や少女は、花のリースや三つ編み、さまざまな種類の冠で身を飾りました。どちらもヘッドスカーフを着用します。

伝統的な民族衣装は、祝日、日曜日、特別な休日、結婚式などの場面で着用されてきました。
今日では、独立回復記念日(3月11日)やミッドサマーフェスティバル(6月24日)、さらに2024年に100周年を迎える「歌と踊りの祭典」などの祝日で、人々は民族衣装を着用します(そうはいっても、伝統的な民族衣装を着ることはあまり一般的なことではありませんが…)。昨今の民族衣装は、19世紀の祝祭の民族衣装を再構築したものなのです。

PROFILE

Kristina  Salte

リトアニア共和国大使館の参事官。リトアニア外交官として 20 年勤務。3 人の子供の母親。小リトアニア地域の代表、クライペダ(Klaipeda)生まれ。趣味:クロスステッチ、かぎ針編み、セーター編み、旅行、ハイキング、シュノーケリング。

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