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Homemade Christmas ホームメイド クリスマス in 2024 ラトビアのクリスマスマーケット vol.1

バルト三国の中央に位置する国、ラトビア。クリスマスに向けて街中が華やかに色付くこの時期ならではのイベントといえば、なんといってもクリスマスマーケットです。リガ市内をはじめとした国内のさまざまな場所でひらかれ、地元の人はもちろんラトビアを訪れる人々を魅了する年末の風物詩。クリスマスマーケットの特徴や現地の様子をレポートします。
photo & text : editorial staff Interview cooperation:Latvia Travel (LIAA)、Finnair
リーガ大聖堂のクリスマスマーケットの入り口。午前中からスタートし、20時すぎまで多くの人でにぎわっている。

リガ旧市街の大聖堂広場で行われる国内最大規模のクリスマスマーケット

毎年11月末。ラトビアの国内には、いくつものクリスマスマーケットが登場します。
なかでも規模が一番大きいのが、リガ市内のリガ大聖堂の広場で行われるクリスマスマーケット。いつごろから始まったか、はっきりとわかっていないのですが、独立回復後で2000年からこの場所で行われています。広場の中心に立つ大きなクリスマスツリーは、このマーケットのシンボル的な存在です。

会場全体がライトアップされた夜のクリスマスマーケット。中心には大きなクリスマスツリーが。

クリスマスマーケットで楽しむ焼き菓子と飲み物

ラトビアのクリスマスマーケットに欠かせない存在として「ピパルクーカ」と「温かい飲み物」があります。ピパルクーカ(ペッパークッキーともいう)とは、「こしょうクッキー」や「こしょう焼き菓子」という意味を持つ、ラトビア伝統の焼き菓子のこと。ヨーロッパのクリスマスは、しょうがの入った焼き菓子「ジンジャーブレッド」が登場することが多いですが、ラトビアでは、しょうがではなくこしょうの入った焼き菓子、ピパルクーカが多くの場面を彩ります。ハートや蹄鉄(ていてつ※1)、衣食住にかかわる動物(馬、豚、鹿、ウサギ)など、ラトビア独自のさまざまな形状をしていて、こしょうの風味はそこまで感じませんが、香ばしさの中に甘さとほろ苦さがある独特のスパイシーさが後を引く味わい。クリスマス飾りやクリスマスにいただくお菓子として、マーケットをはじめ街のさまざまな場所で販売されています。
※1)ラトビアで縁起がいいとされる馬の蹄の鉄

そしてもう一つ、「温かい飲み物」もラトビアのクリスマスマーケットの名物。これは、ドイツでいうところのグリューワイン(ホットワイン)のような存在で、ラトビアではノンアルコールとして提供されるのが特徴です。
作り方はとてもシンプルで、たくさんのフルーツとスパイスを鍋に入れ煮込んで仕上げます。クリスマスマーケットはもちろん、一般の家庭でも作られていて、材料は家庭によって異なるとのこと。飲み物自体にこれといった名称はないようで、果物とスパイスを煮込んで作る飲み物=「温かい飲み物」と言われているそうです。家によって異なる味わいを持つ「温かい飲み物」。名前のような、名前ではないような不思議な呼び名に、なんだかグッときます。

クリスマスツリーのオーナメントとして多用されているのは、わら細工です。
ヨーロッパのほかの国々では、ガラスの玉や金属の飾りを目にすることが多いですが、ラトビアではわら細工を飾るのが伝統的。らせん状、球状、トナカイの形、馬の形をしたもの、星の形などたくさんのバリエーションがあります。わら細工のオーナメントは、フィンランドやスウェーデンでも見かけることができ、わら細工を使ったクリスマス飾りは北欧周辺の伝統ともいえます。会場のあちこちにあるクリスマスツリーにもわら細工のオーナメントが飾られていました。

星やハート、雪の結晶のような形のわら細工。藁のナチュラルな色合いと赤いリボンの組み合わせがかわいい。

また、クリスマスツリーには電飾ではなく小さなろうそくを枝に付けて灯すのだそう。ろうそくの下に重りをつけることで、枝が多少傾いてもひっくり返らず、ろうそくは安定して垂直方向を保つことができるのだとか。もちろん、カーテンなどの燃えやすいものから離れた場所にツリーを置いて火を灯します。
ちなみに、ラトビアではリガ市民をはじめすべての人が、クリスマスツリーとして国有林から欧州唐檜(オウシュウトウヒ)を、一世帯一本ずつ切って持ち帰ることが法律で確保されています。クリスマス前になると、ほとんどの人が自然の天然の樹木を家に持ち帰り飾っているそうで、リガ市内のショップの外観に飾られているツリーやリースも自然な樹木が使われていました。

ラトビアのクリスマスマーケットは、毎年11月末の待降節(たいこうせつ)の前の日曜日から始まり、1月の頭(ロシア正教会のクリスマスを終えた日曜日)まで行われます。ラトビアの人々にとってクリスマスマーケットは、季節の風物詩としての役割のほかに「あと少しでクリスマスを祝える」という心構えの時間とのとらえ方もあるそう。また、クリスマスの贈り物を考えていない人たちにとっては、喜ばれるプレゼントを購入できるすばらしい機会として位置付けされているのだとか。

マーケットに出店している人たちは、首都圏に住む方々が多い一方で、一部は地方から来ている人もいます。大規模なクリスマスマーケットを行っていないエリアに住む人は、大きな町のクリスマスマーケットに出店することもあり、リーガ以外にはクルディーガ、ヤルガワ、リエパーヤといった都市のクリスマスマーケットへ行くこともあるとのこと。

12月は15時くらいから暗くなる。日没はツリーや店舗がライトアップされてとてもきれい。

クリスマスマーケットは、地元の人はもちろん観光客も一体となり楽しい時間を一緒に過ごせる特別な空間。では、温かい飲み物を片手に会場を回ってみましょう。

>>ラトビアのクリスマスマーケット vol.2 ラトビアのクリスマスマーケット vol.2 ぐるり1周レポート

>>「SUBARU」店主 溝口明子のラトビアの手仕事をめぐる旅 vol.9 ラトビアの伝統的な冬至祭とクリスマス

INFORMATION

リーガ大聖堂(Rīgas Doms)のクリスマスマーケット

リーガ中央駅から徒歩15分

INFORMATION

ラトビア政府観光局 Latvia Travel (LIAA)
https://www.latvia.travel/ja

INFORMATION

フィンエアー(Finnair)
http://www.finnair.co.jp

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