Homemade Christmas ホームメイド クリスマス in 2024 ラトビアのクリスマスマーケット vol.2 ぐるり1周レポート
リーガ市内最大のクリスマスマーケット
リーガ大聖堂の前で開かれる会場の真ん中には、もみの木ではなく欧州唐檜(オウシュウトウヒ)というマツ科の大きな針葉樹が装飾され、マーケットのシンボルとなってきらめきます。
このクリスマスマーケットでは、手仕事が残る国ラトビアらしい手編みのミトンや、ビーズを編み込んでできた手首を温めるマウチ、木彫りのおもちゃ、蜜蝋キャンドルなどを販売するお店が立ち並び、お土産やクリスマスプレゼントを買うのも楽しみのひとつです。
訪れる人たちは家族、友達、恋人と…などさまざまで、流れるポップソングに合わせて身体を揺らしたり小さなステップを踏んだりしながら、思い思いに時間を過ごしていました。12月中旬のラトビアは、9時頃に日が昇り始め、16時には日が暮れます。そのような長い夜に、ここでは毎年大切な人と集まって心を躍らせる瞬間が生まれています。
ぶどうじゃないホットワイン
会場をぐるぐると歩き回っていると見逃すことができなかったのが、いろいろなフルーツを使ったホットドリンクがあることでした。この日のラトビアは、最高気温が2~3℃。夜にはもう少し寒くなります。路面にはうっすらと雪が積もり、凍結している箇所もちらほらあります。外にいられないほどではないけれど、とにかく寒い街です。
そのような環境下で開かれるクリスマスマーケットでは、身体の芯から温まるホットドリンクが欠かせません。ほとんどの来場客の片手には、ほくほくと湯気が立つホットドリンクがありました。
ヨーロッパのクリスマスマーケットといえば、ドイツのグリューワイン、デンマークのグロッグなど、シナモンやスターアニスなどのスパイスが効いた甘くて温かいホットワインを思い出す人も多いのではないでしょうか。近年は東京の日比谷公園などで開かれるクリスマスマーケットでもホットワインを飲むことができるので、冬定番のドリンクとして親しみがある人もいるかもしれません。ですが、そのホットワイン、あたりまえに“ぶどう”のワインだと思っていませんか。
モルドワイン(Mulled wine)
ワインというと、当然のように“ぶどう”でできたお酒だと思ってしまいますが、ラトビアで生産されるワインは、ほとんどが“ぶどう”ではありません。なぜならラトビアはぶどうが育つ栽培限界よりも高緯度に位置しており、ぶどうそのものを栽培できない環境なのです(※ラトビアには1軒のみ、ぶどうのワイナリーが存在するそうです)。
それゆえラトビアはぶどうを栽培するのに適した環境ではなく、ワインといっても、ブラックカラント、チェリー、ブルーベリー、ルバーブなどの作物から「ワイン」を作ります。
それら果物のワインを、スパイスと煮込んで作るホットドリンクを総称してモルドワイン(Mulled wine)と呼び、ヨーロッパでは定番の冬のホットドリンクとして親しまれています。
リーガのクリスマスマーケットで見つけたホットドリンクは、ブラックカラントやチェリーワインのモルドワイン、りんごの醸造酒アップルサイダーを温めたドリンク、そしてなんとホットビールもありました。各ホットドリンクには、シナモン、クローブ、スターアニス、オレンジピールなどのスパイスが入っていて、香辛料のいい香りと果実由来の健やかな酸味を感じさせるものばかりでした。
アルコール入りが多く見られましたが、なかにはノンアルコールのホットドリンクもありました。果物のジュースとスパイスを煮込んで飲む文化があるようです。
とにかく、覚えておきたいのはふたつ。ワインはぶどうだけじゃないことと、どんな飲み物でも温めて飲んでみたらおいしいかもしれないこと。固定観念を飛び越えて、おうちにあるジュースやお酒を温めて、スパイスを駆使してみたら、おいしいホットドリンクができあがるかもしれません!
ハンドクラフトも発見
さらにリーガのクリスマスマーケットでは、数々のハンドクラフトを発見できました。
まず、マーケットの看板やマップには、クロスステッチを彷彿させるフォントが使われていました。クリスマスツリーには藁人形や、手編みのオーナメントが飾られていたり。
さらに注目したいのが会場の中央には木製のメリーゴーラウンドがありました。メリーゴーラウンドは中世時代からある娯楽の一つで、ヤギや馬、牛、トナカイ、うさぎなど動物の彫刻をほどこした座席に子供が乗り、大人が手回しで動かす仕組みです。
クリスマスだけでなく、市場やマーケットの一角となどさまざまな場所に娯楽コーナーとして設置されていたそうです。訪れた時間帯は動いていませんでしたが、子どもたちが楽しむ温かな様子が思い浮かびます。
リーガ市内は街じゅうがクリスマスムードで、いたるところにイルミネーションやクリスマスツリーがあります。クリスマスツリーが初めて飾れ付けられた街としても知られるリーガ。
今回訪れたクリスマスマーケットは市内最大といっても、大きすぎず小さすぎない手作り感のあるクリスマスマーケットでした。会場の中にはサンタクロースの小屋があり、タイミングがよければサンタさんと記念写真を撮ることもできちゃいます。地域に馴染んだリアルなマーケットにぜひ足を運んでみてください。
INFORMATION
リーガ大聖堂(Rīgas Doms)
リーガ中央駅から徒歩15分
INFORMATION
ラトビア政府観光局 Latvia Travel (LIAA)
https://www.latvia.travel/ja
INFORMATION
フィンエアー(Finnair)
http://www.finnair.co.jp