STORE

大分県豊後大野の一棟貸しゲストハウス「organic lifestyle 小満」森香桜瑠さんが運営する「手しごと商会」って?

豊かな資源に恵まれる大分県の山側、豊後大野市。シイタケ栽培や大野川が有名なこの土地に、一度は訪れてみたい一棟貸しのゲストハウスが2023年に誕生しました。オーナーの森香桜瑠さんは「手しごと商会」という活動も主宰し、地元の作り手とタッグを組んで生活用具をプロデュースしています。かおるさんが発信する豊かな生活とは?
photo, text: Hinako Ishioka
森香桜瑠さんと、「organic lifestyle 小満」の外観。

「organic lifestyle 小満」とは

大分県出身、ヨガインストラクター、酵素ソムリエ、野菜ソムリエなど多彩な顔を持つ森香桜瑠さん(以下、かおるさん)は、豊かな資源に恵まれた大分県の山側・豊後大野市で家族と暮らしながら、その自宅の隣に「organic lifestyle 小満(こみち)」(以下、小満)という一棟貸しのゲストハウスを建てて運営しています。
小満は、「循環する食べ方、暮らし方、生き方をシェアする場」がコンセプト。大分県に移住を考える人に向けて、田舎暮らしを体験できるリトリート宿泊施設をイメージして2023年5月(二十四節季 小満)にオープンしました。

「この建屋は、廃材と古材をたくさん使って建てました。ガラスはリユースされたもの、壁は地元産の竹チップと土でできています。できるだけ土に還るものを選び、付き合いのある大工さんと相談しながら建てました」。地元の大工さんと話し合いながら建てた小満は、自然で穏やかな空気が流れ、かおるさんの優しい和やかな人柄と相まって、そこにいるだけで呼吸が整ってくるような心地良い空間が広がります。

名前の「小満」は、「しょうまん」と読む5月初旬に迎える二十四節季から。「葉っぱが青々と茂り、命が満ち満ちていく、好きな季節なんです。小満は、小さく満ちると書きます。自分の中の小さな幸せに気づいたり、些細なことで満ちていく感覚を味わえるような場所にしたいと思って名付けました」と、のびやかな声で語ります。
宿泊予約がない時の小満では、ヨガ教室や、地元の人が集う朗読イベントなどが開かれ、暮らしの中で小さな喜びを感じられるような催しが体験できる場所になります。オープンマインドで風通しの良い小満は、大分県の暮らしを朗らかに楽しむ人々が集まる、地域のコミュニティスペースの役割も担います。

「手しごと商会」って?

その小満をベースに、「手しごと商会」という活動を展開しています。大分県豊後大野市を中心に地元で暮らす一般の作り手たちに、商品をプロデュースして制作を依頼、販売流通までを担う活動です。
青竹のかご、竹製のコーヒーフィルター、クラフトバンドでできたバッグ、木彫りのケーキ台やまな板など、ていねいな手仕事でつくられた商品であることが一目でわかるような、人の手が加わった生活用品を中心に商品を制作。依頼する作り手は、かおるさんが地域の暮らしの中で出会った地元の高齢者の方々や、趣味でものづくりをする人たちです。

「手しごと商会」を始めたきっかけはこんなアイデアからでした。かおるさんは二十歳の頃からヨガの道に進み、インドやヨーロッパでヨガ修行を経験。当時、世界各地で出会ったアンティーク品に惹かれ、古いものの本質的な美しさに心を奪われました。「古いものは、手仕事ならではの質感があって、年を追うごとに味がでてきます。それでもアンティーク品を購入するとなると高額だったりするところを、実は地元のコミュニティ内で、手仕事の生活用品って作れるんじゃないの!?と思うようになったことから、7~8年前に手しごと商会を始めました」。

かおるさんは、自身が開く地域の高齢者向けのヨガ教室や、道の駅に出品されている手仕事品を通して出会った地元の作り手に、人伝いで「手しごと商会」の作り手としての協力を仰ぐオファーを実施。かおるさん好みの形やデザインのアイデアを作り手に伝え、制作をプロデュースするようになります。「サイズ感や形をちょっと変えてみただけで全然違う見え方になるんです」。デザインの提案は、かごの取っ手を少し短くするなど小さな部分のことが多いそうです。

「手しごと商会」で大切にしていることのひとつは、暮らしの中で使えるものであること。エッジの効いたアーティスティックなものではなく、日々の暮らしで実際に使えるものをプロデュースしています。 ふたつ目は、作り手の方々のストーリーとともに商品を届けること。「手しごと商会」として、ひとつひとつの商品を紹介する時は、作り手たちのエピソードを話し始めると止まりません。

「循環」する暮らし

ヨガの精神にある「循環」をテーマに、自然とともにある暮らしを体現しているかおるさん。世界的パンデミックを経験した現代の人々が、ウェルビーイングな暮らしに関心を寄せるようになった中で、若い頃からそのような生き方を実践してきました。
「生きることすべてが自然とともにありますよね。これから先、なくなっていく自然や手仕事もあると思うんです。ただ、“自然を大切にしましょう”と概念的に頭ではわかっていても、自然も手仕事も概念ではなくて実態があるものです。なので”手しごと商会”や、”小満”での体験を通して、先人の知恵を残したり、広めていきたいです。この活動が、他の地域にも必ずある手仕事を残す・広めることのきっかけになればいいですね」。

かおるさんと話していると、買うだけではなく、自分たちで工夫していろいろなものを作ってみたくなります。
それをそのまま伝えると、「今は情報が多すぎて、正しい方法や最適解があると思ってしまうことが多いけど、意外と手探りでやってみたり工夫次第で何でもできたりしますよね。小さく満ちていく、それだけでいい。大きなことはすぐには変えられないけれど、身近な生活の中で自分と関わっている物事に気づけたら、小さいレベルで生活が変わっていきます。能動的に感じることで初めて変化が生まれたり、覚悟ができたり、決断ができたりするんだと思います。些細なことからですよね」。

生き方から、地続きに広がっている暮らしの中で生まれた「手しごと商会」。同じ地域で共に暮らす作り手たちとタッグを組み、自然で心地良い商品をお客さまへ届けています。地元の作り手たちは、その道を生業とするプロフェッショナルではないけれど、手しごと商会の商品からは、暮らしの中で「つくる」ことを楽しむ人の想いや熱意、そして豊後大野の自然の恵みを感じられます。ぜひ一度、「手しごと商会」の商品を手にとってみてください。そして「小満」にも訪れてみてください。リラックスした健やかな生活のヒントを発見できるかもしれません。

PROFILE

森香桜瑠 Kaoru Mori

”循環する食べ方、暮らし方、生き方をシェアする宿 organic lifestyle 小満”を運営。手しごと商会主宰。ライフスタイルをテーマにヨガやウェルネスな暮らし、リトリートを体験するスペースを創造中。
同テーマのワークショップや企画展も不定期開催。

HP:https://komichi-bungo.com/

INFORMATION

organic lifestyle 小満

循環する食、暮らし、生き方をシェアする場をコンセプトに、暮らすように体験する一棟貸しゲストハウス。

住所:〒879-7153 大分県豊後大野市三重町玉田2402-1
お問い合わせ:https://komichi-bungo.com/contact/

限定情報をいち早くお届けメルマガ会員募集中!