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デザイナー・見せる修繕の活動家 ハフマン恵真さんのおすすめ『Mend!: A Refashioning Manual and Manifesto』

photo, text: Emma Huffman, Illustration: pan-to-tamanegi

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こんにちは。ハフマン恵真です。兵庫県西宮市で育ち、京都の大学でデザインを学びました。今はオランダのアムステルダムに暮らしています。ケアとアクティビズムとしての修繕に関心があり、ワークショップを通して、「見せる修繕」を広める活動をしています。好きなことは絵を描くことです。昨年の10月から#Freepalestineを日々願っています。

Q

エマさんのおすすめの本について聞かせてください。

『Mend!: A Refashioning Manual and Manifesto』(Kate Sekules/Penguin Books/Sep 08, 2020)

『Mend!: A Refashioning Manual and Manifesto』

「見せる修繕」(visible mending)についてまとめられた本です。
本書はwhat(何), why(なぜ), when(いつ), who(誰が), where(どこで), how(どうやって), which(どの) の7章で展開され、1冊を通して(見せる)修繕の歴史、意義から、修繕の方法や道具をたくさん紹介してくれる最高の1冊です。カジュアルな文章と、たくさんの写真やイラストレーションのおかげで、パラパラとめくっているだけで、家にあるもので今日から修繕を始めよう!とやる気がでてきます。

Q

この本のどんなところが心に残ったのでしょうか。

本書はいい意味で修繕について中立的に書かれた本ではありません。作者の見せる修繕の研究者と活動家としての姿勢と情熱がひしひしと伝わってくる1冊です。序章の1段落目では、「修繕の抱える重荷」について語り、服に限らず、修繕されるべき対象はあらゆる人の人権、そして地球の環境を犯す世界の壊れたシステムであると述べます。そんなメッセージとは対照的に本書はカラフルでポップ。それは、壊れた状態を認めながら前向きに向き合い、修繕を続けよう!という作者の考えが反映されているからだと思います。

Q

現在のお仕事・ご活動、ものづくりにはどう繋がっていますか。

大学でプロダクト・デザインを学んでいた頃、過剰な大量生産・大量消費にデザイナーとして加担することを危惧するようになりました。今あるものを長く使うための活動をするデザインはないだろうかと模索し、本書の作者、Kate Sekulesさんのウェブサイト「Visible Mending」に出会い大きく影響を受けました。数年後、修士過程で修繕のための新たなデザインについて研究していた時に本書が出版され、現在の活動をするにあたり手放せない1冊となりました。

Q

最後に、手芸・手仕事・ものづくりの魅力はなんだと思いますか。

手芸・手仕事・ものづくりは「自分でできる」ということがEmpowering※だと思います。例えば、自分の服の修繕は針と糸、布、そして自分の手があればできます。
ただ、昨今の製品(特に家電等の電気製品)を自分で直すことが非常に難しい。これは、利用者の安全、そして、ビジネスの観点から企業の意図的な設計によるものです。この現状に対して、「直す権利」は消費者・利用者にあるんだ!という動きが出てきました。
ものがどうやって作られているのか、どうやって直せるかを知ることができることもものづくりの魅力だと思います。

※ Empowering(エンパワーメント):力(権限)を与えるという意味。社会や組織のなかで人が本来もっている力を引き出し、取り戻すこと。個人が思う存分に力を発揮できること。黒人のエンパワーメント、女性のエンパワーメントなど、歴史的に抑圧されてきた立場の人が自分の力や権利を自分から獲得し、自信を持つこと。

>>ハフマン恵真さんのインタビュー記事はこちら
自分で修繕するってどんなこと?見せるメンディングの活動家、ハフマン恵真さんインタビュー vol.1
穴やシミも、生かしちゃえ。見せるメンディングの活動家、ハフマン恵真さんインタビュー vol.2
修繕はエンパワーメントだ!見せるメンディングの活動家、ハフマン恵真さんインタビュー vol.3

PROFILE

ハフマン恵真 Emma Fukuwatari Huffman

京都工芸繊維大学でデザイン学を専攻し、2022年に修士号を取得。アクティビズムとケアとしての修繕に関心があり、日蘭を拠点にビジブルメンディングのワークショップ開催などの活動を展開。Studio A-lot-of-thingsの共同創設者。

Studio A-lot-of-thingsのインスタグラム:https://www.instagram.com/studio.alot/

https://efhuffman.com/

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