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ぬいぐるみ作家 doudou-poi yumicoさんインタビュー vol.1 ものづくり×ぬいぐるみ。きっかけは2つの大好き。

2019年に作家活動をスタートすると、またたくまに人気作家のひとりとなったyumicoさん。赤いまぶたを効果的に使った、気になる表情のぬいぐるみたちは、どのようにして生まれたのでしょうか。幼い頃からものづくりが大好きだったというyumicoさんに、ご自身のぬいぐるみとの出会いなども含めて、お話を伺いました。
photo: yumico(doudou-poi),Takashi Sakamoto, interview & text: Chiaki Shimazaki

編集部

ものづくりに興味を持つようになったのは、いつ頃からですか?

yumico

小学3年生のとき、担任の先生に折り紙の亀をプレゼントしたのが、一番古い記憶です。その頃から、絵を描くよりも立体的なものをつくるのが好きでした。小学生時代は、女の子の顔をしたポーチ、フェルトでつくるマスコット……と、いろいろつくりましたね。

編集部

デザインからすべて、yumicoさんのオリジナルですか?

yumico

そうです。組み立てキットのように完成形が決まっているものには、興味が沸かなかったんです。自由に考え、イメージを実体化していく。それが、楽しくて。母は手芸をやらない人でしたから誰かに教わるわけでもなく、つくり方が載っている本を見るわけでもなく、自分で考えてつくるのが好きでした。チクチクチクチク、針と糸を使って試行錯誤の繰り返しでしたけど。中学生になると洋服に目覚めて、当時流行っていたシノラー(タレントの篠原ともえさん)にハマり、古着をアレンジしたり。かぎ針でマスコットを編んで友人に配ったり。つくりながら「こうしよう、ああしよう」と考えるのが好きなのは、ずっと変わりませんでしたね。

編集部

ぬいぐるみ作家として、今、ものづくりに携わっているのは、子どもの頃からの延長線上にあることなんですね。

yumico

でも、道のりはまっすぐではなかったんです。高校から進学する時には、自然な流れで「ものづくりの道に進みたい」と思い、工芸を学べる大学を選びました。機織りや陶芸、糸紡ぎや糸の染色など、素材づくりから作品を完成させるまでを学べましたが、工芸関連の仕事に就くのは難しくて。卒業後は、フラワーショップ、それからメガネ店で販売の仕事に携わりました。とはいえ、家ではビーズ刺繍のブローチとかを相変わらずつくっていましたけどね。今でもそうですが、何かをつくっていると気持ちが落ち着くんです。

編集部

一方で、ぬいぐるみとは、どのような関係だったのでしょうか?

yumico

幼い頃から身近にいる存在でした。鮮明に覚えているのは、幼稚園の年長の時、祖父のお見舞いで行った病院の売店で出会った猫のぬいぐるみです。真っ白い毛がふわふわしている子を、一目で気に入って。祖母がプレゼントしてくれたという思い出の子でもあるから、今も大切にしています。中学生くらいからしばらくは、ぬいぐるみとは離れてしまいましたが、社会人になってまたぬいぐるみが側にいるようになりました。大人になってからは、以前とは違う付き合い方になってきたんですよね。

お祖母さんに買ってもらったねこのぬいぐるみは今でも大切にしている。

編集部

どう変化したのでしょう?

yumico

幼い時は、一緒に寝る相棒という感じだったのが、大人になってからは心の中で話しかけるようになったんです。例えば、仕事から帰ると「世の中大変だよねー」とか。オカルトみたいって誤解されそうですけど(笑)。私、幼い頃からずっと、組織や人が大勢集まるところが苦手で。ぬいぐるみは、言葉を発しないから、一緒にいても疲れないんですよね。だからと言って、ぬいぐるみとの付き合いにどっぷり浸かるわけではないんです。私にとっては、適度な距離を保ちながら、生活を共にする存在かな。

編集部

ぬいぐるみとの付き合い方や存在意義のようなものが、ぬいぐるみ作家になってからの作風に影響を与えているのかもしれませんね。

ymico

ああ、そうかもしれません。私は、可愛いだけではなくて、「だいじょうぶ?」と言いたくなる、そんなぬいぐるみが好きなんです。だから、つくるぬいぐるみも、そういう子たちであってほしいと思っています。

お気に入りのぬいぐるみたち。

編集部

「ぬいぐるみ作家」の存在は、いつ頃知ったのですか?

yumico

10年ほど前に、 ぬいぐるみ作家・貝戸由希さんの「くまのBOO」を雑誌で見つけた時に初めて知りました。見た瞬間、その不思議な可愛さに引き寄せられて、すぐメールを出し、「つくっていただけますか」とお願いしたんです。受注生産という方法を知ったのもその時で、「この方法なら私にもできそうだな」と思ったのは、今でも覚えています。何より、注文してから半年後に届いた時の感動は、忘れられません。仕事から帰って来て箱を開けた時、「うわーー!」って思わず声をあげてしまいました。手づくりのぬいぐるみと対面するのは初めてのことでしたから、鳥肌が立つほど嬉しくて。「こんなに感動させてくれるなんて、なんて素敵なお仕事なんだろう」と思ったことが、心の中にとどまり続けていたんです。

くまのBOO(貝戸由希さん作)

doudou-poi yumicoさんインタビュー vol.2 につづく

PROFILE

doudou-poi yumico

名古屋市在住。2019年にぬいぐるみブランド『doudou-poi』を立ち上げる。
doudou-poiのdoudouとは、フランス語で 「子供が安心するために肌身離さず持ち歩くぬいぐるみ」のこと。
大人も子供も関係なく、忙しい毎日に(ふぅ〜)とチカラの抜ける瞬間を感じてもらえるよう、暮らしの相棒(doudou)をお届けしたいと心を込めてぬいぐるみを作っています。

Web shop: https://doudoupoi.thebase.in/

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