「米粒3粒が包める布は捨てない」という教えがある通り、小さくなった布もとっておいて補修や補強に使う。
衣料品や用具は補修と補強を繰り返し擦り切れるまで使っていた。
外で使う足袋。おそらくこれを履いてゼンマイなどを採りに行っていた。
ゼンマイを採る際に踏ん張る足裏の親指部分はとくに補修の跡が目立つ。
親戚の不祝儀の際、米を持参する時に使う「米袋」。お金の代わりに米をお供え物として持っていく風習があり、お米だけを置いて袋は何回も使っていたという。巾着の口の部分は、ズボンのベルトホールのように何枚かの細い布で縫い留め、その輪の中に紐を通している。端切れを使った手仕事ぶりがその女性の評価にもなったのだそう。
刺し子が施された雑巾。貴重な木綿布は、擦り切れて薄くなると何枚も縫い合わせて丈夫にし、麻糸の刺し子を直線縫いで一面に施し補強して、最後の最後まで使い切った。南郷地域では麻が栽培されていたので、麻糸で縫ってある。木綿の糸が貴重だったことがうかがえる。
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