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vol.11-1 フィンランドの伝統装飾ヒンメリを飾る 正八面体、上下が長い八面体

麦わらで作るフィンランドの伝統的な装飾品、ヒンメリ。ヒンメリ作家の山本睦子さんに、基本となるヒンメリの作り方を教えていただきます。麦わらがない場合はペーパーストローで作ってもOK。天井につるしてクリスマスの準備を進めましょう。
photo:Takashi Sakamoto, text: editorial staff

フィンランドの伝統装飾ヒンメリ

ヒンメリとは、フィンランドの伝統的な装飾品のこと。もともと8~9月に行われていた収穫祭を祝うテーブルの装飾が起源とされています。当時の家の作りはとても簡素な造りで、収穫祭のごちそうが並ぶテーブルにほこりや虫が落ちてこないように食卓の上の天井を大きな布で覆っていました。その端に飾っていた麦の飾りがヒンメリの始まりです。屋根の構造がしっかりしてきた時代には、大きな布は使われなくなりましたが、飾りを下げる習慣は残り、今に伝わるヒンメリへと変化していきます(『ヒンメリをつくる』山本睦子著/誠文堂新光社刊より)。

ヒンメリ作家・山本睦子さんに教わる基本のヒンメリ

ヒンメリは基本となるパーツをアレンジして形を変えたり、いくつかの小さなパーツを組み合わせて作ります。基本的な作り方やつなぎ方をマスターすれば、さまざまな作品に応用可能。今回はヒンメリをつくるうえで基本となる大切な形、八面体(正八面体、上下が長い八面体)、そして八面体の作り方をアレンジしたクリスマスツリーの作り方を、ヒンメリ作家の山本睦子さんに教えていただきました。


教えていただいたのはこの方

山本睦子さん

ヒンメリ作家、グラフィックデザイナー、北海道フィンランド協会理事。フィンランドで生活し、北欧のデザインや暮らしを体験。フィンランド語の師である川上 Seija氏からヒンメリの制作や文化・日々の暮らしなど、フィンランドの人々の「心」と「ライフスタイル」を学ぶ。
現在は作品制作、展示、ワークショップを通して麦わらで作るフィンランドの伝統装飾品のすばらしさを伝えるとともに、ペーパーストローを使ったヒンメリやマスキングテープでアレンジしたシリーズ「アイノ」など、新感覚のヒンメリも創作し活動している。

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【ヒンメリの材料と道具】

●麦わら
収穫した後の麦の茎を乾燥させたもので、とても軽く中が空洞になっている。自然素材のため1本1本の長さや太さが異なるので、使う前に太さを揃えおき、同じくらいの太さの麦わらで作品を作るときれいに仕上がる。

●麦わらの下準備
 ① 使用する麦わらは水またはお湯に浸してやわらかくしておく(1時間ほど)。
 ② 柔らかくなった麦わらを引き上げ、軽く水けをふいたら使う長さ(好みの長さ)にカットする。
*カットの目安
 ・正八面体…8cm×12本
 ・上下が長い八面体…4cm×8本、3cm×4本
 ③ 麦わらが乾いたら、切り口にボンドを薄く塗り補強する。

①刺繍糸
 麦わらをつなぐときに使用。発色とすべりが良い刺繍糸がおすすめ。たこ糸を使ってもよい。
②木工用ボンド
 残った糸の処理や、麦わらの切り口の補強で使う。
③ビッグアイニードル
 糸を通す際の手間が省ける優れもの。麦わらの長さによって長針と使い分けて。
④竹串
 ボンドをつけたり、残った糸の処理をするときにあると便利。
⑤針(長針)
 麦わらに糸を通すときに使用。
⑥定規
 麦わらや糸をカットするときに使用。1cmごとにメモリが入っているものがあると便利。
⑦はさみ2種
 糸切り用の手芸ばさみと、麦わらを切る用のカットワークはさみがあると便利。


正八面体の作り方】

正八面体は、ヒンメリを構成するモチーフの中でもっとも簡単で基本となる大切な形。ヒンメリの構造を知りながら、基本となる作り方をマスターしましょう。
*8cm×12本の麦わらを使用

① 150cmにカットした刺繍糸を針に通し、麦わらに通していく。

② 3本の麦わらに糸を通し、糸端を10cmほど残して固結びする。
 

③ 4本目、5本目の麦わらに糸を通して三角形を作り、一つ目の三角の右下の角に糸を2回くぐらせる。
 

④ ③と同じ手順を繰り返し、11本の麦わらで5個の三角形を作り、12本目に糸を通す。

⑤ ●と●を合わせ、固結びをして短い糸の方のみ1本カットする。

⑥  ◎と◎を合わせ、10cmほどの別糸で固結びする。余分な糸をカットし、糸を麦わらの中に入れてボンドで固定する。
  

正八面体の完成。

上下が長い八面体の作り方】

正八面体の作り方の応用。上下のわらの長さを変えると、細長い八面体が完成します。2つの長さの麦わらを使うので、糸を通す順番を間違えないよう注意しましょう。
*4cm×8本、3cm×4本の麦わらを使用

① 麦わらの上下の長さを変え、上記の順番の通りに糸を通す。●と●を合わせて固結び。◎と◎を、10cmほどの別糸で固結びする。余分な糸をカットする。

上下が長い八面体の完成。

正八面体と上下が長い八面体、それぞれ単体でつり下げてもかわいいのですが、他の素材と組み合わせるとがらりと印象が変わります。 山本さんにおすすめいただいたのは「フェルトボール×麦わら」の組み合わせ。赤、緑、白のボールを一緒につるせば、クリスマスらしさがアップし華やかな印象にかわります。

2つを並べて飾っても。壁にうつった影がきれいです。

次のページでは八面体をアレンジしたクリスマスツリーをつくります。

>>vol.11 フィンランドの伝統装飾ヒンメリを飾る その2 四面体のクリスマスツリー

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PROFILE

山本睦子

ヒンメリ作家、グラフィックデザイナー、北海道フィンランド協会理事。フィンランドで生活し、北欧のデザインや暮らしを体験。フィンランド語の師である川上 Seija氏からヒンメリの制作や文化・日々の暮らしなど、フィンランドの人々の「心」と「ライフスタイル」を学ぶ。
現在は作品制作、展示、ワークショップを通して麦わらで作るフィンランドの伝統装飾品のすばらしさを伝えるとともに、ペーパーストローを使ったヒンメリやマスキングテープでアレンジしたシリーズ「アイノ」など、新感覚のヒンメリも創作し活動している。

https://www.himmelin-aika.com/

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