vol.13 雪の模様切り紙でつくるウォールインテリア
教えていただいたのはこの方
吉浦亮子さん
岩手県生まれ。自由学園女子部最高学部卒業後、デンマークオレロップ国民高等体操学校に留学。そのときのホームスティ先でモビールと出会い、帰国後デンマークモビールを基調としたデザインを三浦滉平氏に師事。現在は、ペーパー・カッティング・アートのブランド「papirklip(パピアクリップ)」を主宰。デザインナイフを使って紙を丁寧に切り出し、糸でつなぐモビールを制作する。
デンマークのクリスマス
デンマークでは家でも学校でも、みんなが楽しんでクリスマスを手作りするのが印象的です。クリスマスのお菓子(クッキー)をボリボリ食べながら、おしゃべりしながら……クリスマスのハート(ユーレヤーター)を作ったり、切り紙をしたりします。それを本物のツリーに吊るします。切り紙したものも、壁に貼ったりするのではなくて吊るして飾るのに、素敵だなと思いました。
12月24~26日はデンマークのお店すべてがクローズに。どんなお店でもクローズするので、その徹底ぶりに驚きました。街におおぜいの人が繰り出す日本とは違うなぁと実感。デンマークの人は、クリスマスのひとときを国民全員で大切にしていることを感じました。
24日は普段教会に行かない人も教会へ行ってからクリスマスディナーに。食後にはどの家でもそこにいた人全員で、プレゼントを置いたツリーの周りを手を繋いで歌を歌いながら回ります。そして食べて飲んでの長い長い夜を過ごします。
次の日も、お昼にユーレフォコストといって親戚、家族を招待してお食事会をしたりします。クリスマスからの数日は延々食べていた感じがします。そのためこのクリスマス休みで、私は過去一番に太りました(笑)。
デンマークにはクリスマスソングもたくさんあります。学校では数え切れないほどのクリスマスソングを歌いました。なかでも「サンタルチア」という歌を、女子がシーツのような白い布をまとって歌ったのは思い出に残っています。一番背の高い子がリースのようなものを頭にのせ、その子を先頭にして歌いながら歩いてステージに並んで歌い終わる儀式だったような記憶があります。
そして、デンマークといえばやっぱり「ニッセ」。クリスマスにはサンタクロースのお手伝いをする小さくてかわいい妖精です。さまざまなニッセを家のあちこちに飾ります。
デンマークの冬はとにかく暗くて寒いのですが、このクリスマスのおかげでお部屋も華やかに彩ったり、灯りをともしたりしてヒュッゲに過ごします。
デンマークではクリスマス前に謎の「ニッセの手紙」が届く
私が留学していたデンマークの学校では、クリスマスが近くなるとみんなが「ニッセの帽子」をかぶって、紙を切ったり貼ったりしながらクリスマスの飾り付けをしました。
ニッセの帽子とは、赤いとんがり帽。これをかぶらないと、クリスマスの飾り付けには参加できないので、持っていない人は、まずこの帽子を作らなければいけないのです。 また、クリスマス前には、誰からともなく「ニッセの手紙」というのが届き、受け取った人は、そこに書かれていることを実行しなければいけません。「一日中、ニッセの帽子をかぶって過ごしてください」とか「同じ階の人、10人に手紙を書いてください」とか、そんな内容です。そして、ある期間中に誰が自分にこの手紙を送ったかをあてっこするのです。
デンマーク人がよく作るユーレヤーター
デンマークの一般家庭では、季節や行事に合わせて、モビールを飾り変えます。手作りの人もいれば、買ったものを飾るなど、それはその家によって異なります。 クリスマスによく作るのは「ユーレヤーター」というクリスマスハートの切り紙。2枚の紙に切り込みを入れ、それに合わせてハートの形にします。
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雪の模様切り紙の作り方
■基本の材料と道具
一般の折り紙でも作ることはできますが、モビールにするなら、画用紙くらいの厚手の紙を使ったほうがいいでしょう。私が使用しているのは「マーメイド」という種類の紙の210kgという厚さのもの。ただ、この厚さのタイプは紙の専門店でないと扱っていないことが多いので、手に入れやすいもっと薄いタイプでもいいと思います。大手の文具店や画材店に行ければ、さまざまな種類の紙が揃っているので、いろいろ試してみて自分の好みのものを見つけてください。
道具は、特別なものは必要ありません。
まずはカッター。雪の結晶は細かい模様が多いため、普通のカッターよりもデザイン用カッターがおすすめです。小回りがきいて、曲線なども切りやすいからです。紙が厚くなるなるほど、切る力も強くなり、その分カッターの刃も折れやすくなります。そして思っているより早くに切れ味も悪くなるため、替え刃の用意も用意しておきましょう。机などに傷がつかないよう、カッターマットも必要です。
ほかに、直線を切るとき使用する金定規も必須アイテム。指サックをつけると切り紙を押さえやすくなります。
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■雪の模様切り紙の切り方
型紙をダンロードして、切る紙にプリントします。切る紙に直接プリントできない場合は、プリントした紙を型紙のひとまわり大きいサイズに切って、作品を作る紙の上に動かないようセロテープなどでとめて切りましょう。作品は小さいほど切るのが難しくなります。切り紙に初めて挑戦する人は。型紙を拡大コピーして作ってみるのがいいかもしれません。慣れたら、好きな大きさに縮小・拡大して、さまざまな大きさの雪の模様作りに挑戦してみてください。
>>Migrateurオリジナル 吉浦亮子さんの雪の切り紙 型紙ダウンロードはこちらから
1 型紙をプリントする。
② 直線の部分に定規をあて、カッターで切る。最初に、中心の模様から切っていく。
③ 中心から外側に向けて切ったところ。
④ 模様をすべて切り終えたところ。
⑤最後にアウトラインを切ったら完成。
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切り紙を作ったら糸でつなげてモビールにしてみよう
モビール作りに必要なものを紹介します。
ピンセットは細かい作業や、ビーズなど小さいパーツをつかむのに使います。ボンドはビーズをくっつけるときに使用。乾くと透明になる木工用ボンドがおすすめです。糸は切り紙と切り紙をつなげるときに使います。木綿の糸より、ポリエステル製のほうがおすすめです。ほかに糸を切るはさみ、飾りとして糸につけるビーズを準備します。
① ビーズに糸を通す。
② つまようじなどの先にボンドを少しだけつけて、糸にビーズを固定させる。
③ 3連のモビールにする場合は2で作ったものを2本用意する。
④ ビーズが糸の真ん中になるよう、余分な糸を切る(写真はカッターで切っているがはさみで切ってOK)。
⑤ 切り紙の頂点の部分にボンドをつける。
⑥ 糸の先をボンドの部分に固定させ、切り紙と切り紙をつなげる。
⑦ 吊り下げる部分を作る。一番上になる切り紙の頂点の部分に糸を通してわにする。
⑧ わにした糸にビーズを切り紙のところまで通す。
⑨ つまようじなどの先にボンドを少しだけつけて、糸にビーズを固定させる。
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PROFILE
吉浦亮子 Ryoko Yoshiura
岩手県生まれ。自由学園女子部最高学部卒業後、デンマークオレロップ国民高等体操学校に留学。そのときのホームスティ先でモビールと出会い、帰国後デンマークモビールを基調としたデザインを三浦滉平氏に師事。現在は、ペーパー・カッティング・アートのブランド「papirklip(パピアクリップ)」を主宰。デザインナイフを使って紙を丁寧に切り出し、糸でつなぐモビールを制作する。おもな著書に『雪の模様切り紙―空からの贈り物をつくって、かざる 美しい結晶のかたち128作品を収録』『花の模様モビール―切って、吊るして、楽しめる、四季おりおりの花53種類』(ともに誠文堂新光社)など。