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ポジャギが見つかるソウルの骨董街「踏十里(タプシムニ)古美術商街」

日本のふろしきや袱紗(ふくさ)と同じように、マルチクロスとして使われているポジャギ。かつてはどんな家庭でも使われていた日常の布でしたが、その美しさから工芸品としても高く評価され、最近は韓国でもなかなか入手するのが難しいのだとか。ソウル工芸博物館でポジャギを見た後に訪れたい、韓国・ソウルの骨董街をご紹介します。
Text & Photo:Mayumi Akagi

国内外の骨董好きが集う「踏十里」

ソウルには仁寺洞(インサドン)、踏十里(タプシムニ)古美術商街、蚤の市で知られる黄鶴洞(ファンハットン)の3ヵ所の骨董街がありますが、今回訪れたのは踏十里。地下鉄の踏十里駅を降りて徒歩5分ほどのところにある、建物の一部(2・5・6棟)が古美術商店街になっており200店ほどが入っているそう。

古美術商店街の上はアパート。

最も工芸品が揃うという2号棟に入ると小さな店舗がずらり。廊下には李朝家具や壺などの古美術品が所狭しと並べられています。

店の外まで、かごなどの民芸品が。李朝家具なども見つかる。

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建物の端にある「萬福堂(マンボクダン)」に入ると、店主が刺繍をしながら店番をしていました。最近は古いポジャギがあまり見つからないため、手作りして販売しているそう。

店主が作っていた刺繍は、オーナメントやコースターに。

ヴィンテージと北朝鮮で作られている今のポジャギ

さまざまなガイドブックや雑誌にも紹介されている店、「香美堂(ヒャミダン)」。センスの良いポジャギが見つかります。

モシ(からむし)のポジャギは、新しく作られているものだそう。

ご主人は世界的に活躍している陶芸家で、骨董を選ぶ目にも信頼が厚いそう。店主に話を聞くと、ヴィンテージのものはとても高価。韓国でポジャギを作る人もあまりいないため、今並んでいる新しいポジャギのほとんどは、北朝鮮で作られたものだといいます。

さまざまな色合い、サイズのポジャギが揃う。

かつて同じ国だった朝鮮半島は当然文化も同じだったはずで、工賃が安いという理由から北朝鮮で作られ、中国を経由して販売されているそう。手縫いされているポジャギはどれも作りが丁寧。買いやすい価格のものもありますが、ポジャギを作った人に思いを馳せながら、大切に使いたくなるものばかりでした。
ほかのお店では、ヴィンテージのポジャギを発見。シルク素材のポジャギは色合いもカラフル。

天然染めの美しいポジャギは、李朝のものだそう。

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ポジャギが欲しいという人は、新しいものから手にしてみるのがおすすめ。どこの店主も優しく、壁を飾るのか何かにかけるのか、使い方を想像しながら訪れると、きっとぴったりのものが見つかります。

INFORMATION

踏十里古美術商街 (タプシムニコミスルサンガ /답십리고미술상가)

住所:ソウル特別市東大門区古美術路21 踏十里 古美術商街 2棟(서울특별시 동대문구 고미술로 21 답십리고미술상가 2동)
営業:9:00~19:30
休み:日曜 ※店舗ごとに異なる

PROFILE

赤木真弓 Mayumi Akagi

フリーランスのライター、編集者。イベントなどで古書を中心に販売する書店「greenpoint books & things」店主。
旅好きライターユニット「auk(オーク)」としても執筆活動を行なっている。
著書に『ラトビア、リトアニア、エストニアに伝わる温かな手仕事』(誠文堂新光社刊)、共著に『ベルギー・ブリュッセル クラシックな街歩き』(産業編集センター刊)、『「好き」を追求する、自分らしい旅の作り方』(誠文堂新光社刊)ほか。

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