「SUBARU」店主 溝口明子のラトビアの手仕事をめぐる旅 vol.11 手仕事に出会えるおすすめショップ ③TĪNES(ティーネス)
手仕事大国ラトビアを旅する際のお楽しみの一つがお買い物!
前回に引き続き、今回もおすすめのお店を紹介します。
熟練ニッターさんによる手編みミトンの宝庫 TĪNES(ティーネス)
1993年にイナーラさん、トゥアムスさん親子によって創業されたニットアイテムの専門店で、特に豊富なラインナップを誇る手編みのミトンで有名です。細い毛糸を使い、確かな技術できっちりと編まれたミトンは、編み目が細かく高品質! 編んでいるのは、ラトビア全土にちらばって暮らしている熟練のニッターのおばあちゃんたちです。旧市街には店舗とアトリエの両方があり、ニッターさんたちはそれぞれ編み上げたアイテムをアトリエに届けています。
普段使いに最適なニットやリネンウェアも豊富
もちろんミトンだけではなく、店舗には五本指の手袋、靴下、帽子、マフラー、スヌード、セーターなどのニットウェアも並んでいます。女性用だけではなく、男性用、子供用のアイテムも揃っているので、ギフト探しにもぴったり。また、ウールアイテムのみならず、リネン製品も扱っているので、一年中お客さんが絶えません。
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ラトビアの伝統的なデザインを大切にしているお二人は、その模様を正確に再現したり、アレンジを加えて図案化している一方で、現代人の服装や好みにもマッチするように、伝統的な文様をモダンな柄と組み合わせたり、新しいデザインを生み出したりもしています。素材は天然のウールかリネンのみを使用。常に最高の品質を追い求め、サービスにもこだわりをもっているので、ラトビア貿易協会の「Best Trader of Latvia」を受賞したこともあります。
店名の由来のTĪNE(ティーネ)とは、衣類や調度品を入れる長持のことです。かつてラトビアではお嫁入りの際に、数百組の手編みのミトンが長持の中に詰められていました。まさしくティーネスはそんなお店。大切に編まれたあまたのミトンや靴下に心がときめきます。
私は店舗よりもアトリエを訪ねることの方が多いのですが、いつもイナーラさんとトゥアムスさんが迎えてくれる安心感があります。昨夏、数年ぶりに訪問できましたが、まるで最近まで会っていたかのように話しが弾み、空白の期間などなかったかのような穏やかなひとときを過ごせました。
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INFORMATION
TĪNES
住所:Riharda Vāgnera iela 5, Rīga
https://tines.lv/
>>次ページ 国内で作られたテキスタイルとリネン製品が豊富にそろう ④ETMO(エトモ)
PROFILE
溝口明子 Akiko Mizoguchi
ラトビア雑貨専門店SUBARU店主、関西日本ラトビア協会常務理事、ラトビア伝統楽器クアクレ奏者
10年弱の公務員生活を経て、2009年に神戸市で開業。仕入れ先のラトビア共和国に魅せられて1年半現地で暮らし、ラトビア語や伝統文化、音楽を学ぶ。現在はラトビア雑貨専門店を営む一方で、ラトビアに関する講演、執筆、コーディネート、クアクレの演奏を行うなど活動は多岐に渡っている。
2017年に駐日ラトビア共和国大使より両国の関係促進への貢献に対する感謝状を拝受。ラトビア公式パンフレット最新版の文章を担当。著書に『持ち帰りたいラトビア』(誠文堂新光社)など。クアクレ奏者として2019年にラトビア大統領閣下の御前演奏を務め、オリンピック関連コンサートやラトビア日本友好100周年記念事業コンサートにも出演。神戸市須磨区にて実店舗を構えている。