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「SUBARU」店主 溝口明子のラトビアの手仕事をめぐる旅 vol.8 職人さん探訪記その4 プズリと織物の職人アウスマさん<前編>

バルト海に面した緑豊かな国、ラトビアに伝わる手仕事の数々。今も昔も変わらない、素朴でやさしい温もりのある伝統的な技、そしてそれらを残し伝えていくベテラン職人、伝統を受け継ぎ新たな形を築く若手作家の作品など。雑貨屋「SUBARU」の店主・溝口明子さんが出会った、ラトビアの手仕事の現在(いま)を現地の写真と共にお届けします
Text,photo:Akiko Mizoguchi

ラトビアの伝統的な麦藁オーナメント「プズリ」

ゆらゆら揺れる麦藁のオーナメント「Puzuri(プズリ※1)」。フィンランドのヒンメリが有名ですが、同じような形状のオーナメントはラトビアでも古くからありました。
Puzuris(プズリス※2)とは、 12本の麦藁の中に糸を通して正八面体の形を作るオーナメントのことで、4つの面が東西南北や春夏秋冬を、「下の三角形-接面-上の三角形」が「地下-地面-天空」を表わすと考えられています。
1個のプズリスが細胞一つ、もしくは一人の個体を示し、たくさんのプズリスを使うことで一つの細胞から宇宙へ広がっていく様子を、あるいは一人の人間から親戚関係が広がっていく様子を表現しているという、哲学的でお守りのような存在として知られています。
※1「プズリ」は複数形、※2「プズリス」は単数形。

今夏ラトビアを訪問した際に、ラトビア随一のプズリ職人であるアウスマ・スパルヴィニャさんの個展 に行ってきました。

プズリを制作するアウスマさん。

会場はアウスマさんが暮らしている町、イェルガワにあるレストラン「VIEDI」。40点近い大作が展示されていて、食事をしながら誰でも見学することができました。

吹き抜けが気持ちいい。レストランの1階、2階ともに展示会場。

凝った作品の数々はそれぞれテーマを設けて制作されたそうで、ランチタイムを挟みながらアウスマさんが順番に解説してくれました。

すべての命の始まりである卵をモチーフにした作品。
星型のパーツで制作した作品。
麦藁ではなくメタル素材を使用した作品。
ボール型を意識した作品。
今年2月にイェルガワで開催された氷彫刻フェスティバルにて展示されていたプズリ。
氷の中に入った状態で展示されていた。
愛を表わす色である赤を多用した作品。
一人の個体から家族、そして世界へと広がるのがプズリ。
3パターンの影を楽しめるよう計算してデザインされたプズリ。
ラトビア語でĶists(チスツ)という名のオーナメント。これもプズリの一種で、ラトビア西部クルゼメ地方では祝祭の場で飾られていた。
内部に多数の星を入れた作品。
蜘蛛の巣が張っているように見せたモダンなデザインのプズリ。
本当に蜘蛛の巣が張っているよう!

>>次ページ 職人さん探訪記その4 プズリと織物の職人アウスマさん<後編>

PROFILE

溝口明子 Akiko Mizoguchi

ラトビア雑貨専門店SUBARU店主、関西日本ラトビア協会常務理事、ラトビア伝統楽器クアクレ奏者
10年弱の公務員生活を経て、2009年に神戸市で開業。仕入れ先のラトビア共和国に魅せられて1年半現地で暮らし、ラトビア語や伝統文化、音楽を学ぶ。現在はラトビア雑貨専門店を営む一方で、ラトビアに関する講演、執筆、コーディネート、クアクレの演奏を行うなど活動は多岐に渡っている。
2017年に駐日ラトビア共和国大使より両国の関係促進への貢献に対する感謝状を拝受。ラトビア公式パンフレット最新版の文章を担当。著書に『持ち帰りたいラトビア』(誠文堂新光社)など。クアクレ奏者として2019年にラトビア大統領閣下の御前演奏を務め、オリンピック関連コンサートやラトビア日本友好100周年記念事業コンサートにも出演。神戸市須磨区にて実店舗を構えている。

HP:http://www.subaru-zakka.com/

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