「SUBARU」店主 溝口明子のラトビアの手仕事をめぐる旅 vol.8 職人さん探訪記その4 プズリと織物の職人アウスマさん<前編>
ラトビアの伝統的な麦藁オーナメント「プズリ」
ゆらゆら揺れる麦藁のオーナメント「Puzuri(プズリ※1)」。フィンランドのヒンメリが有名ですが、同じような形状のオーナメントはラトビアでも古くからありました。
Puzuris(プズリス※2)とは、 12本の麦藁の中に糸を通して正八面体の形を作るオーナメントのことで、4つの面が東西南北や春夏秋冬を、「下の三角形-接面-上の三角形」が「地下-地面-天空」を表わすと考えられています。
1個のプズリスが細胞一つ、もしくは一人の個体を示し、たくさんのプズリスを使うことで一つの細胞から宇宙へ広がっていく様子を、あるいは一人の人間から親戚関係が広がっていく様子を表現しているという、哲学的でお守りのような存在として知られています。
※1「プズリ」は複数形、※2「プズリス」は単数形。
今夏ラトビアを訪問した際に、ラトビア随一のプズリ職人であるアウスマ・スパルヴィニャさんの個展 に行ってきました。
会場はアウスマさんが暮らしている町、イェルガワにあるレストラン「VIEDI」。40点近い大作が展示されていて、食事をしながら誰でも見学することができました。
凝った作品の数々はそれぞれテーマを設けて制作されたそうで、ランチタイムを挟みながらアウスマさんが順番に解説してくれました。
>>次ページ 職人さん探訪記その4 プズリと織物の職人アウスマさん<後編>
PROFILE
溝口明子 Akiko Mizoguchi
ラトビア雑貨専門店SUBARU店主、関西日本ラトビア協会常務理事、ラトビア伝統楽器クアクレ奏者
10年弱の公務員生活を経て、2009年に神戸市で開業。仕入れ先のラトビア共和国に魅せられて1年半現地で暮らし、ラトビア語や伝統文化、音楽を学ぶ。現在はラトビア雑貨専門店を営む一方で、ラトビアに関する講演、執筆、コーディネート、クアクレの演奏を行うなど活動は多岐に渡っている。
2017年に駐日ラトビア共和国大使より両国の関係促進への貢献に対する感謝状を拝受。ラトビア公式パンフレット最新版の文章を担当。著書に『持ち帰りたいラトビア』(誠文堂新光社)など。クアクレ奏者として2019年にラトビア大統領閣下の御前演奏を務め、オリンピック関連コンサートやラトビア日本友好100周年記念事業コンサートにも出演。神戸市須磨区にて実店舗を構えている。