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【日本】飛騨刺し子

photo: Ayako Hachisu, text: Yoko Kaji

刺し子は、布がまだ貴重だった時代に、それらを補強する手段として発展した。江戸時代以来城下町として栄え、飛騨の小京都とも呼ばれた岐阜県高山市に、今もなお伝わるのが飛騨刺し子だ。雪深く、交通も不便なこの地方では織物の入手が困難だったため、糸を紡いで織物を織り、それを自分の手で染めるのが女性の仕事だった。もちろん、柄を染め抜く技術などはないので、紺や浅黄、渋茶などの単色の着物に、白糸で好みの模様を刺して楽しんだといわれている。一筆書きのように糸を切らずに縫う方法は、材料を無駄にしない先人たちの生活の知恵だった。

出典:『アジアのかわいい刺繡』誠文堂新光社 刊

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