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『ニッターズハイ!』 漫画家 猫田ゆかりさん

書籍制作に携わる著者、編集者、デザイナー、スタイリスト、カメラマンなどに「本」についてインタビューするこの企画。今回は、編み物の漫画を連載している猫田ゆかりさんにお話を伺いました。
photo: Satoru Nakagaki, text: Ayaka Kawai

漫画も編み物も大人になってから。

「昔から漫画を読むのが好きな子供だった」というインドア派の猫田さん。当時は自分が漫画家になれるとは思ってなかったと話します。
実は、本格的に漫画を描き始めたのは26〜27歳の頃。前職のグラフィックデザインの仕事をあまりの多忙さに退職し、何かおもしろいことに挑戦しようと決意し漫画家を目指しました。
幼少期にお父さまがアパレルの会社を立ち上げ、お母さまが従業員としてファッションデザイナーを務める生活を送っていたので、自宅ではお母さまが布を広げて、パターンをひくような、日常的にものづくりと接している毎日だったそう。ご家族がアパレルを営んでいたとはいえ、編み物に触れてこなかった猫田さん。それはさまざまな衣料品を取り扱うお母さまから「編み物は難しいから」と習うことはありませんでした。

そんな猫田さんが編み物を漫画にしようと思ったのは、その前の連載がひと段落したタイミング。気分転換して小さい頃に挑戦したいと思っていた編み物にチャレンジしてみることに。
漫画家のなかにも手芸好きの方はたくさんいるようですが、それでも編み物が漫画に出てくることは少ないそうです。連載を再開しようと思った時期にちょうど編み物に夢中になっていたので、物語の題材にしたらおもしろくなるんじゃないかとひらめいたそう。
「今思えば、編み物で癒されてまた連載を始める元気が出てきたのかもしれません」

自分が好きなことを漫画に書くことが多いです。むしろそれしか出来ない。

刑事もののドラマが大好きで、『相棒』や『土曜ワイド劇場』、『さすらい刑事旅情編』を見るような渋い子供だったそう。「自分の好きなテーマを漫画にしています。会社を辞めた後、1年間で成果が出せなかったら他の仕事に就こうと思っていました」と猫田さんは語ります。警察官を主人公としたデビュー作『黒い紋章』が見事、ちばてつや賞で入選。

「漫画も手芸も身近に教えてくれる人がいない環境でしたが、それがかえって、夢中になって自分で調べることに繋がりました。」

編み物をしながら考え事をするのが好きだそうで、撮影させていただいたスタジオにも、漫画を描くデスクにも、至るところにかぎ針と編みかけの靴下や小物入れがありました。編み物は、仕事で煮詰まった時の息抜きにもなるし、「これは漫画の参考のためだから!と自分に言いきかせながら編んでしまいます」と笑って話してくださいました。

猫田さんが編み物をはじめたのは4年ほど前。これまでに作った作品は、セーター4〜5着にとどまらず、マフラーや靴下などの小物も多数。今では糸を手染めするようになり、これまでに、化学染料をはじめ、アボカドやみかんでも糸を染めました。糸を染め始めたのは、ネット通販で理想的な色の糸を見つけたものの、長い間売り切れた状態で購入することができなかったのがきっかけとのこと。「さらなる沼に足を踏み入れてしまった」と話す猫田さん。次は、庭にある赤いカナメモチでシルク糸を染めようと計画中だそうです。

猫田さんの『おすすめ選書』はこちら

手づくりの作品もきれいにディスプレイ。

PROFILE

猫田ゆかり Yukari Nekota

第62回ちばてつや賞入選作、『黒い紋章』にてデビュー。代表作に『SAKURA TABOO』、『天空の蜂』(原作:東野圭吾)。現在、月刊『コンプティーク』にて、『ニッターズハイ!』を連載中。愛知県在住、猫好き。

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