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『世界のビーズ』展覧会レポート! @文化学園服飾博物館

普段何気なく身に着けているビーズの長い歴史、さまざまな素材、民族ごとの用途を紹介する展覧会。単なるおしゃれアイテムじゃないビーズの姿がそこにあります。学芸員の金井光代さんにお話を伺ってきました!
photo & text: Hinako Ishioka

『世界のビーズ』展

2024年7月19日(金)~11月4日(月)文化学園服飾博物館にて開催中の展覧会『世界のビーズ』。
手芸やアクセサリー素材で馴染み深いビーズですが、人類が共に長い歴史を歩んできた装飾品であることをご存知でしょうか?
この展覧会は大きく2フロアに分けて構成されています。
第1室「世界の民族とビーズ」では、約40カ国の民族のビーズがあしらわれた衣服や装身具をアジア、アフリカ、アメリカ、オセアニア、ヨーロッパと地域ごとに展示。

第2室「ファッションとビーズ」では1920年代にヨーロッパで流行したアール・デコのビーズドレスから、オート・クチュールのイヴニング・ドレスなど現代にいたるまでの印象的なビーズドレスが並びます。さらに現代日本を代表するビーズデザイナー田川啓二さんによるドレスも出品され、どれも息をのむほどの美しさ。

知られざるビーズの側面

ビーズのはじまりは、ホモサピエンスが生活を営んでいた7~10万年前の遺跡から見つかった穴の開いた貝といわれています。
長い歴史の中で世界各地の人々は、着飾る目的だけでなく、富や権力の象徴、身分や立場を示す、急所を保護する、魔除け、祈りなどのさまざまな用途に合わせてビーズを使用してきました。

学芸員の金井さんによると、「ビーズの定義は、穴が開いていて糸が通り、長時間変質しない素材で作られているもの」。今、日本で簡単に手に入るのは、工場生産されたガラスやプラスチックのビーズですが、人類は古来からさまざまな素材をビーズにしてきたそうです。
例えば植物(木、種、木の実など)、海産物(真珠、宝貝、珊瑚など)、人・動物(人骨、動物の牙など)、石や鉱物、金属、ガラスと種類は多岐にわたります。
「特に山岳地帯では海までの距離が遠いので、何らかのルートで海産物の貝が交易によってもたらされると、身分の高い人だけが身に着けることができました。ビーズによって民族内の地位を示していたんですよね」という説明には膝を打ちました。

「文化学園の生徒だけでなく、他校の服飾学生や、服が好きな一般の方々に楽しんでいただいています。ビーズには華やかな装飾品というイメージがありますが、素材・用途の幅広さ、歴史の長さを知っていただきたいですね」。
残暑の厳しい季節ですが、この展覧会は2024年11月4日(月)まで開催しているので、涼しくなってきた秋のお出かけに、ぜひ足を運んでみてください。世界のビーズが見せる驚きの連続があなたを待っています!

ヨーロッパのコーナーは華やかな装飾にビーズがあしらわれている。

INFORMATION

世界のビーズ

■会期 2024 年7月19日(金)〜 11月4 日(月)
 10:00〜16:30(8月30日、10月25日は19:00まで開館、入館は閉館の30分前まで)
■休館日 日曜、祝日、振替休日、8月9~18日(※7月28日、8月25日、11月3日、11月4日は開館)
■料金 一般500円、大高生300円、小中生200円(※障がい者とその付添者1名は無料)
■ギャラリートーク 8月3日、10月12日13:00~(※12:30より受付順30名)
■会場 文化学園服飾博物館
■主催 文化学園服飾博物館
■協力 田川啓二美術館、株式会社ラトルズ

INFORMATION

文化学園服飾博物館

1979年に開館した学校法人文化学園を母体とする服飾専門の博物館。1923年(大正12)年、ファッションの総合教育機関「文化服装学院」の創立以来、教育/研究目的で世界・日本各地から収集された貴重な服飾コレクションを広く一般に公開しています。服飾コレクションの数は現在約2万点にのぼり、年に3~4回開かれる企画展を通してテーマごとに見ることができます。

住所:〒151-8529 東京都渋谷区代々木3-22-7
新宿文化クイントビル 1階
TEL:03-3299-2387

HP:https://museum.bunka.ac.jp/

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