【中国】蘇繍(ソシュウ)・打子繍(ダーズゥシュウ)
photo: Ayako Hachisu, text: Yoko Kaji
蘇繍(蘇州刺繍)の歴史は古く、2500年ほど前、呉の国が蘇州に都を置いたころから刺繍が盛んに行われていた。1本の絹糸を2分の1から36分の1に分割し、何十色もの絹糸を用いて縫い上げられることから、中国刺繍の最高峰として知られる。髪の毛の3分の1ほどの細い絹糸を縫い重ねていくので、表面はあまり盛り上がらないのが特徴。いっぽう打子繍は、日本刺繍では相良繍(さがらぬい)の名で知られる手法。玉のように縫い込むことから「玉縫い」とも呼ばれ、日本では奈良時代に仏像の巻き毛の部分に使用されたのが始まりといわれている。写真は相良刺繡の帯留。四季折々の草花を蘇州刺繍で表現し、周囲に相良刺繍をあしらうことで模様がいっそう引き立ち、立体感が生まれる。
出典:『アジアのかわいい刺繡』誠文堂新光社 刊